イランイランオイル(Ylang Ylang Oil)
投稿者 :リンクプロ on
学名
Cananga odorata forma genuina (シノニム: Canangium odoratum forma genuina)
科
バンレイシ科(Annonaceae)
概要
イランイランオイルは、Cananga odorata forma genuina の花を蒸留して得られるエッセンシャルオイルであり、香料として広く使用される (98617,98618,98619)。
伝統的に、外用の消毒薬、媚薬(アフロディジアシアック)、鎮静剤として使用されてきた。
注意事項
イランイランオイルは、Cananga odorata forma genuina の花から抽出されるが、カナンガオイル(Cananga Oil) とは異なる。
カナンガオイルは、Cananga odorata forma macrophylla の花から得られるものであり、混同しないように注意が必要。
安全性
可能な安全性(LIKELY SAFE)
✅ 食品に含まれる量で使用する場合は安全とされ、米国では**GRAS(一般に安全と認められる)**の認定を受けている (4912)。
信頼できる情報が不足している場合
⚠ 経口摂取や外用で医療用途として使用する場合の安全性については十分な研究がない。
小児
✅ 食品に含まれる量での経口摂取は安全(GRAS認定あり)。
⚠ 外用使用については「おそらく安全(POSSIBLY SAFE)」とされ、5日間隔で3回の頭皮への塗布が安全に行われた報告がある (13483)。
⚠ 医療用途としての経口摂取に関する信頼できる情報はないため、使用を避けるべき。
妊娠・授乳中
✅ 食品に含まれる量での摂取は安全(GRAS認定あり)。
⚠ 医療用途としての使用に関する十分な情報がないため、使用を避けるべき。
副作用
現在、イランイランオイルの副作用に関する情報は限られている。
広範な安全性評価は行われていない。
最も一般的な副作用
外用時:皮膚炎、かゆみ(皮膚刺激)
効果・有効性(科学的根拠が不十分)
✅ 信頼できる十分な研究がないため、有効性は評価できない。
検討されている用途(効果が不確定)
🔹 認知機能(Cognitive function)
- イランイランオイルのアロマセラピーが認知機能の改善に役立つかどうかは不明。
🔹 高血圧(Hypertension)
- イランイランオイルを外用することで血圧を下げる可能性があるが、臨床研究が不足している。
🔹 シラミ(Lice)
- 外用使用がシラミの駆除に有効かどうかは不明(他の成分と併用された研究のみが存在)。
🔹 自殺念慮(Suicidal ideation)
- イランイランオイルのアロマセラピーが自殺念慮の軽減に役立つかどうかは不明。
📌 さらなる研究が必要。
使用方法・用量
成人
- 吸入(アロマセラピー):研究が限られており、標準的な用量は確立されていない。
小児
- 外用(頭皮塗布):5日間隔で3回の使用例が安全とされているが、詳細な推奨用量は不明。
相互作用
✅ 現在のところ、イランイランオイルと薬剤・サプリメント・病状との既知の相互作用はない。
過剰摂取(Overdose)
⚠ イランイランオイルの過剰摂取に関する十分な情報はない。
薬理作用(Mechanism of Action)
主要成分
- ベンジルベンゾエート(Benzyl benzoate)
- リナロール(Linalool)
- ベンジルサリチレート(Benzyl salicylate)
- ベンジルアルコール(Benzyl alcohol)
- ベンジルアセテート(Benzyl acetate)
- ゲラニオール(Geraniol)
- ゲラニルアセテート(Geranyl acetate)
- シンナミルアセテート(Cinnamyl acetate)
- メチルベンゾエート(Methyl benzoate)
📌 これらの成分が、それぞれ異なる生理作用を持つと考えられている (98618,109500,109496)。
主な薬理作用
鎮痛作用(Analgesic effects)
- マウス研究において、30mg/kgの経口摂取で急性および慢性疼痛を軽減することが示された (109498)。
- 神経損傷を伴うマウスにおいても、不安症状を改善し、神経炎症の指標を改善。
抗炎症作用(Anti-inflammatory effects)
- マウス白血球に対する試験で、イランイランオイルは白血球の遊走(chemotaxis)と貪食活性を抑制 (109500)。
- マウス・ラットの動物研究では、50〜150mg/kgの経口摂取で炎症誘発性浮腫(化学物質誘発による足の腫れ)を抑制。
抗昆虫作用(Anti-insect effects)
- イランイランオイルには、南部ハウスカ(Southern house mosquito)幼虫に対する殺虫効果があるが、エジプトコットンワームやハエには効果がない (109496)。
骨への影響(Bone effects)
- 骨格筋量の減少を抑える可能性が指摘されているが、ヒト試験では唾液中のオキシトシン濃度の上昇は確認されなかった (109497)。
鎮静・リラックス効果(Calming effects)
- イランイランオイルを皮膚に塗布、または吸入することで鎮静作用が得られる (98616,98617,98619)。
- 血圧低下効果が確認されているが、研究が不足している。
- 動物研究では、鎮静作用がベンジルベンゾエート、リナロール、ベンジルアルコールの3つの成分によるものと示唆されている (98618)。
まとめ
✅ イランイランオイルは香料やアロマセラピーに使用され、鎮静作用が期待される。
✅ 食品に含まれる量の摂取は安全だが、医療用途としての使用は十分な研究がない。
✅ 鎮痛・抗炎症・リラックス効果が示唆されているが、さらなる研究が必要。
⚠ 外用では皮膚炎やかゆみのリスクがあるため、注意が必要。
References
See Monograph References
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