亜鉛 ジンク(Zinc)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Zinc, Zn, 原子番号30


概要

亜鉛は植物や動物にとって必須ミネラルの一つであり (90200)、体内では蓄積されないため、食事から定期的に摂取する必要があります
亜鉛欠乏症になると、低身長、性腺機能低下、味覚の低下、食欲不振などの症状が現れることがあります (90200)。

亜鉛を多く含む食品

  • 赤身の肉
  • 家禽類(鶏肉など)
  • 魚類

発展途上国ではこれらの食品が不足しがちなため、亜鉛欠乏症の発生率が高いと考えられています (90200)。


注意事項

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について

  • 亜鉛がCOVID-19の治療に有効である可能性があるという研究がありますが、明確な科学的根拠はありません
  • COVID-19の予防目的で亜鉛を摂取することは推奨されていません

安全性

経口摂取

安全性が高い

  • 適切な量(40mg以下/日)の摂取であれば安全 (7135)。
  • 短期間であれば**上限を超える摂取(80mg/日)**でも大きな問題はないとされる (7303, 8622, 92212)。
  • ただし、長期間40mgを超える量を摂取すると、銅の吸収が阻害され、貧血のリスクがある (7135)。

危険性がある場合

  • 鼻腔内投与(点鼻薬など):嗅覚障害(永久的な嗅覚喪失)を引き起こす可能性あり (11155, 11705, 16800, 16801)。
  • 過剰摂取(450〜1600mg/日):貧血、銅欠乏症、神経障害のリスクが高まる (7135, 17092, 112473)。
  • 歯科用接着剤(義歯安定剤)を長期間使用すると、亜鉛の過剰摂取につながることがある (17092, 17093)。

妊娠・授乳中の安全性

安全

  • 妊娠中の適正な摂取量(14〜18歳で34mg/日、19〜50歳で40mg/日)以内なら安全 (7135)。
  • 授乳中も同様の摂取量で安全 (7135)。

過剰摂取(40mg/日以上)は危険

  • 亜鉛の過剰摂取は、母乳中の銅濃度を低下させ、乳児の銅欠乏症を引き起こす可能性がある (7135)。

副作用

一般的な副作用(経口摂取時)

  • 腹痛
  • 下痢
  • 金属味
  • 吐き気・嘔吐(摂取量に依存)

経口摂取時の重大な副作用(まれ)

  • 急性腎不全
  • 神経障害(手足のしびれ・筋力低下)
  • 重度の貧血

有効性

科学的に有効とされるもの

亜鉛欠乏症(経口・静脈投与で治療・予防に有効)
下痢(発展途上国の栄養不足の子供に有効)
ウィルソン病(銅の過剰蓄積を防ぐ)

有効性の可能性が高いもの

ニキビ(経口摂取は有効の可能性あり、外用は効果が不明)
加齢黄斑変性(AMD)(抗酸化ビタミンと併用すると進行を遅らせる)
風邪(亜鉛トローチが症状の軽減に役立つ可能性あり)
糖尿病(血糖コントロールを若干改善する可能性あり)
口臭(ガムやマウスウォッシュに含まれる亜鉛が効果的)
ヘルペス(外用薬として使用すると症状を軽減する可能性あり)


効果がない、または不明なもの

🚫 効果がない可能性が高いもの

  • HIV/AIDS(病状改善の効果なし)
  • リウマチ関節炎(RA)(症状の軽減効果なし)
  • インフルエンザ(予防効果なし)
  • 前立腺がん(予防効果なし)

科学的根拠が不十分なもの

  • 認知機能低下の予防
  • うつ病(抗うつ薬との併用で効果がある可能性あり)
  • 多発性硬化症(MS)
  • 男性不妊症(精子の質改善の可能性あり)
  • 骨粗しょう症の予防(骨密度の改善効果がある可能性あり)

推奨摂取量(RDA)

成人

  • 男性(18歳以上):11mg/日
  • 女性(19歳以上):8mg/日
  • 妊娠中:11mg(19歳以上)、13mg(18歳以下)
  • 授乳中:12mg(19歳以上)、17mg(18歳以下)

子供

  • 7か月〜3歳:3mg/日
  • 4〜8歳:5mg/日
  • 9〜13歳:8mg/日
  • 14〜18歳(女子):9mg/日、(男子):11mg/日

相互作用

薬との相互作用

  • 抗生物質(キノロン系・テトラサイクリン系) → 亜鉛が薬の吸収を妨げる
  • ペニシラミン(関節リウマチ治療薬) → 亜鉛が薬の効果を弱める
  • 利尿剤(チアジド系) → 亜鉛の排出を増加させる

サプリメントとの相互作用

  • カルシウム・鉄・マグネシウム → 亜鉛の吸収を妨げる
  • ビタミンA → 亜鉛が吸収を促進

過剰摂取と治療

過剰摂取の症状

  • 銅欠乏症(貧血、免疫低下)
  • 胃腸障害(嘔吐、下痢、腹痛)
  • 神経障害(しびれ、筋力低下、歩行困難)

治療

  • 摂取を中止し、必要に応じて銅サプリメントを併用

まとめ

適量の摂取であれば健康維持に重要
🚫 過剰摂取は銅欠乏症や神経障害のリスクがあるため注意
点鼻薬(亜鉛配合)は永久的な嗅覚障害のリスクがあるため使用しないこと

References

See Monograph References


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