ナツメ(Zizyphus)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Ziziphus jujuba(別名:Ziziphus sativa, Ziziphus vulgaris

科名

クロウメモドキ科 (Rhamnaceae)


概要

ナツメは温帯および亜熱帯地域に広く分布するトゲのある低木または小さな木です。
果実は食用であり、デーツ(ナツメヤシ)に似た形状をしています。
ナツメは以下の栄養素を豊富に含んでいます。

食物繊維
ビタミンC
ビタミンB群
脂肪酸の一部

ナツメは伝統的な中国医学(TCM)において何世紀にもわたり使用されてきました (93307, 93318)。


安全性

経口摂取

安全性が高い

  • 食品に含まれる量のナツメ果実の摂取は安全とされています。
  • ナツメ果実粉末(30g/日、最大12週間)の摂取は安全とされています (93317, 104507)。
  • ナツメ果実エキス(20〜40滴/日、最大12週間)も安全とされています (93316)。
  • ナツメ種子エキス(2g/日、4週間)の使用も安全と報告されています (107921)。

外用(肌に塗る)に関する安全性情報は不十分

妊娠・授乳中の安全性

食品に含まれる量であれば安全
サプリメントとしての摂取については安全性が不明なため避けることが推奨される


副作用

経口摂取では一般的に良好な耐容性がある
📌 まれに胃腸症状(軽度の消化不良、下痢など)や中枢神経系の影響が報告されることがある


有効性

科学的根拠が不十分なもの

📌 ナツメに関する臨床研究は限られており、多くの効果については信頼できる証拠が不足している

以下の健康効果については、さらなる研究が必要とされています。

アンチエイジング(肌の老化防止)
慢性疾患による貧血
不安症
喘息(ぜんそく)
運動パフォーマンスの向上
がん予防
便秘の改善
糖尿病の管理
高脂血症(コレステロール値の改善)
高血圧の管理
不眠症の改善
新生児黄疸の改善


推奨摂取量

  • 成人(経口)

    • ナツメ果実エキス:20〜40滴/日(最大12週間)
    • ナツメ果実粉末:30g/日(最大12週間)
    • ナツメ種子エキス:2g/日(最大4週間)
  • 小児(経口)

    • 十分な研究がなく、適切な摂取量は不明

薬との相互作用

相互作用がある可能性のある薬

ナツメを摂取する際は、以下の薬との相互作用に注意が必要

1️⃣ 糖尿病治療薬(抗糖尿病薬)
📌 低血糖のリスクが増加する可能性(理論的なリスク)
📌 :メトホルミン、インスリン

2️⃣ 中枢神経抑制剤(鎮静剤・睡眠薬)
📌 鎮静作用が強まる可能性
📌 :ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム)、バルビツール酸系

3️⃣ CYP1A2で代謝される薬(肝臓酵素の影響)
📌 ナツメがCYP1A2酵素の活性を促進し、一部の薬の効果を減少させる可能性
📌 :カフェイン、テオフィリン


ハーブ・サプリメントとの相互作用

1️⃣ 血糖降下作用のあるハーブ・サプリメント
📌 理論的に低血糖リスクを増加させる可能性
📌 :ギムネマ、フェヌグリーク、シナモン

2️⃣ 鎮静作用のあるハーブ・サプリメント
📌 ナツメの鎮静作用と相乗効果を示す可能性
📌 :カモミール、バレリアン、ラベンダー


メカニズム(作用機序)

主要な成分

  • トリテルペン酸(オレアノール酸、ウルソール酸 など)
  • フラボノイド(ルチン、ケンフェロール、クエルセチン など)
  • ポリサッカライド(ペクチン など)
  • ビタミン(C、B群)
  • ミネラル(鉄、カリウム など)

期待される生理作用

鎮痛作用(痛みの緩和)
抗糖尿病作用(血糖値の安定化)
抗炎症作用(炎症を抑える)
コレステロール低下作用(LDLを減少)
抗菌・抗ウイルス作用(MRSAやインフルエンザウイルスへの効果)
抗酸化作用(フリーラジカルを抑える)
神経保護作用(記憶力向上や神経変性疾患への影響)
創傷治癒促進(傷の治りを早める)


まとめ

食品として摂取する分には安全で栄養価も高い
伝統的に鎮静・抗炎症・抗酸化作用が期待されている
🚫 治療目的での使用については信頼できる臨床研究が不足している
糖尿病治療薬や鎮静剤との併用には注意が必要


ナツメは中国や韓国の伝統医学でも「養血安神(血を養い、心を落ち着かせる)」として不眠症や神経不安の改善に使用されることが多いですが、科学的な証拠はまだ十分ではありません。

References

See Monograph References


今後の研究によって、より詳しい効果が解明されることが期待されています。


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