ヨーグルト(Yogurt)

投稿者 :リンクプロ on

注意事項

  • ヨーグルトには生きた微生物が含まれる可能性があり、プロバイオティクスや、発酵乳・ケフィアなどの発酵食品とは区別されるべきである。

概要

  • ヨーグルトは、牛乳を乳酸菌で発酵させた乳製品である (1240,1241,3589,3590)。
  • 米国では、主にラクトバチルス・デルブリュッキー・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus) によって発酵される (12778)。

安全性

可能な安全性(LIKELY SAFE)

  • 適切に経口摂取する場合、安全と考えられる (1240,1241,1242,1245,1246,1253,1256,3590,8526,93499,95367,93712,95588,95589,110567)。

膣内使用

  • 「おそらく安全(POSSIBLY SAFE)」と考えられる。 妊婦を対象とした小規模な臨床研究では、膣内使用による副作用は報告されていない (1248)。

妊娠・授乳中

  • 妊娠中の経口摂取は安全(食品に含まれる量)。
  • 膣内使用は「おそらく安全」 であるが、データが限られている。
  • 授乳中の安全性について、膣内使用に関する十分な情報はない。

副作用

  • 通常、ヨーグルトは経口摂取で良好に耐容される。
  • 一部の人では、皮膚、消化器系、免疫系、がん関連の影響が考えられる。

有効性(科学的根拠があるもの)

「おそらく有効(POSSIBLY EFFECTIVE)」

  1. 便秘(Constipation)

    • Activia(アクティビア) という特定のヨーグルトは、排便回数を増やす 効果がある。
  2. 高脂血症(Hyperlipidemia)

    • 特定のヨーグルトはコレステロール値をわずかに低下させる可能性がある。
  3. 乳糖不耐症(Lactose Intolerance)

    • 生きた乳酸菌を含むヨーグルトは、乳糖不耐症の子供や成人の乳糖耐性を改善する。

エビデンスが不十分なもの(効果が不明なもの)

📌 科学的根拠が不十分なため、さらなる研究が必要。

  • 抗生物質関連の下痢
  • アスピリンによる胃の損傷防止
  • 喘息の改善
  • 運動パフォーマンス向上
  • 細菌性膣炎(バクテリアル・バギノーシス)の予防・治療
  • がんの予防
  • 心血管疾患(CVD)の予防
  • クロストリジオイデス・ディフィシル 感染症(C. difficile)の予防
  • 大腸腺腫の予防
  • 大腸がんの予防
  • 虫歯の予防
  • 歯垢の抑制
  • 糖尿病の予防・血糖コントロール
  • 下痢の予防・改善
  • 運動による筋肉損傷の予防
  • 歯肉炎の改善
  • ピロリ菌(H. pylori) の除菌効果
  • 肝性脳症の改善
  • HIV/AIDS の治療補助
  • 高血圧の改善
  • 栄養失調による下痢 の改善(効果なしとの報告もあり)
  • 閉経後の症状の軽減
  • メタボリックシンドロームの予防
  • 筋力増強
  • 非アルコール性脂肪肝(NAFLD) の改善
  • 肥満のリスク低減
  • 全死亡率の低減
  • 高齢者の身体パフォーマンス向上
  • 生活の質(QOL)向上
  • 呼吸器感染症の予防
  • 尿路感染症(UTI)の予防
  • 膣カンジダ症(Vaginal Candidiasis)(他の成分と併用した研究のみ)

使用方法・用量

成人(経口摂取)

  • 一般的な摂取量は250mLまたは250gを1日1〜16週間継続。

成人(膣内使用)

  • 研究が限られており、標準的な用量は確立されていない。

小児(経口摂取)

  • 研究が限られており、標準的な用量は確立されていない。

薬剤・サプリメントとの相互作用

薬との相互作用

  1. シプロフロキサシン(CIPROFLOXACIN, Cipro)

    • ヨーグルトと併用すると、シプロフロキサシンの吸収と効果が減少する可能性がある。
    • 服用時間をずらすことが推奨される。
  2. ニロチニブ(Nilotinib, Tasigna)

    • ヨーグルトがニロチニブの吸収を増加させる可能性があるが、臨床的影響はほぼない。
  3. テトラサイクリン系抗生物質(Tetracycline)

    • ヨーグルトがテトラサイクリンの吸収を減少させる可能性がある。
    • 服用時間をずらすことが推奨される。

サプリメントとの相互作用

  • 現在のところ、特に知られている相互作用はない。

薬理作用(Mechanism of Action)

プロバイオティクス効果

  • ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内細菌叢を整える ことが期待されている。

抗がん作用

  • ヨーグルトは胃腸内の亜硝酸塩濃度を低下させる可能性がある。
  • 一部の乳酸菌は、腸内の有害酵素(β-グルコシダーゼ)の活性を低下させることが報告されている (1243)。

抗炎症作用

  • 低脂肪ヨーグルトを摂取すると、炎症マーカーが低下 することが示唆されている (98505)。

乳糖不耐症の改善

  • ヨーグルトのβ-ガラクトシダーゼ酵素 が乳糖の消化を助ける。

免疫調整作用

  • ヨーグルト摂取がIgE産生を減少させ、喘息などのアレルギー疾患に影響を与える可能性がある。

脂質低下作用

  • ヨーグルト中の乳酸菌が胆汁酸の再吸収を阻害し、コレステロールを低下させる可能性がある。

まとめ

便秘・高脂血症・乳糖不耐症の改善に有効な可能性あり。
腸内環境の改善・免疫調整作用が期待される。
一部の薬剤との相互作用に注意が必要。
📌 さらなる研究が必要な分野が多い。

References

See Monograph References


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