スルブチアミン(Sulbutiamine)
投稿者 :リンクプロ on
学名
スルブチアミン(Sulbutiamine)
科名
(記載なし)
その他の一般的な名称
(記載なし)
概要
スルブチアミンは、ビタミンB1(チアミン)の合成誘導体である (24384)。
通常のチアミンは水溶性だが、スルブチアミンは脂溶性であり、血液脳関門を通過し、脳内のチアミン濃度を上昇させる (24384)。
スルブチアミンの代謝産物は、スポーツ競技のドーピング検査で検出されており、運動能力向上のために使用されている可能性があると考えられている (24379)。
⚠ 2019年12月、米国食品医薬品局(FDA)は、スルブチアミンを「栄養補助食品成分アドバイザリーリスト」に追加。
このリストに掲載された成分は、サプリメントとしての合法性が疑わしい可能性があることを示しており、消費者はスルブチアミンを含むサプリメントの使用を控えることが推奨される (100530)。
歴史(History)
(記載なし)
一般的な用途
経口摂取(Oral)
- アルツハイマー病
- 無力症(アスセニア)(慢性疲労の一種)
- 運動能力向上
- うつ病
- 糖尿病性神経障害
- 勃起不全(ED)
- 疲労(Fatigue)
- 記憶力向上
安全性(Safety)
✅ おそらく安全(POSSIBLY SAFE)
- 短期間(最大2か月)の適切な経口摂取は安全と考えられる。
- 1日400mgの摂取は、最大2か月の臨床研究で問題なく使用されている (24374,24381,99492)。
- ⚠ 長期間の安全性に関する十分な情報はない。
妊娠・授乳中
- ⚠ 安全性に関する十分な情報がないため、使用を避けることが推奨される。
副作用(Adverse Effects)
✅ 一般的に安全とされるが、長期的な安全性は不明。
- 600mgの経口摂取が4週間まで安全に使用された例がある (24374,24378)。
- 消化器系や**中枢神経系(CNS)**への影響がある可能性が指摘されている。
有効性(Effectiveness)
⚠ 評価に十分な信頼できる証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)
糖尿病性神経障害(Diabetic neuropathy)
- **特定のスルブチアミンサプリメント(Arcalion, Les Laboratoires Servier, 400mg/日, 6週間使用)**の研究では、神経障害の症状の改善は見られなかった。
- しかし、神経伝導速度および複合筋活動電位(CMAP)が改善したとの報告がある (24381)。
疲労(Fatigue)
- 感染後疲労の患者が、抗生物質治療に加えてスルブチアミン400mgを15日間摂取したところ、エネルギーレベルが向上し、疲労感が軽減された (24374)。
多発性硬化症関連の疲労(Multiple sclerosis-related fatigue)
- 多発性硬化症(MS)による疲労を抱える患者が、スルブチアミン400mgを60日間摂取した研究では、認知機能、身体機能、心理社会的機能への疲労の影響が軽減された (99492)。
⚠ これらの用途に関しては さらなる研究が必要。
用量と使用方法(Dosing & Administration)
- 糖尿病性神経障害:スルブチアミン 400mg/日(6週間) (24381)。
- 疲労:スルブチアミン 400mg/日(15日間) (24374)。
- 多発性硬化症関連の疲労:スルブチアミン 400mg/日(60日間) (99492)。
標準化と製剤(Standardization & Formulation)
- 標準化に関する十分な情報はない。
薬物相互作用(Interactions with Drugs)
- 知られている相互作用はない。
サプリメントとの相互作用(Interactions with Supplements)
- 知られている相互作用はない。
病状との相互作用(Interactions with Conditions)
-
精神疾患(Psychiatric disorders):
- スルブチアミンが中枢神経に影響を与えるため、精神疾患のある人は慎重に使用するべき。
臨床検査との相互作用(Interactions with Lab Tests)
- アナボリックステロイド(Anabolic steroids)との相互作用が示唆されている。
過剰摂取(Overdose)
- 過剰摂取時の症状や治療に関する十分な情報はない。
スルブチアミンを含む市販製品(Commercial Products Containing Sulbutiamine)
- 健康カナダ認可製品の一覧を確認可能。
薬物動態(Pharmacokinetics)
分布(Distribution)
- 動物研究では、スルブチアミンは血液脳関門を通過し、網様体賦活系(RAS)、大脳辺縁系、小脳などに高濃度で蓄積されることが確認されている (24385,24387)。
代謝(Metabolism)
- 動物研究では、静脈内投与により、組織内のチアミン、チアミンモノリン酸、チアミンジリン酸、チアミントリリン酸の濃度が増加した (24385)。
作用機序(Mechanism of Action)
神経系への影響(Neurological effects)
- 正確な作用機序は不明だが、スルブチアミンが網様体賦活系(RAS)を活性化し、睡眠・覚醒の調節や「闘争・逃走反応」に関与すると考えられている (24501,24502)。
- この作用により、無力症(Asthenia)の症状を軽減する可能性がある (24374)。
- 動物研究では、スルブチアミンがコリン作動性、ドーパミン作動性、グルタミン作動性伝達を増強する可能性が示唆されている (24503,24504,24505)。
分類(Classifications)
- エルゴジェニック補助剤(Ergogenic Aids)(運動能力向上のための補助剤)