ストロンチウム(Strontium)

投稿者 :リンクプロ on

学名
Strontium(元素記号: Sr, 原子番号 38)

科名
分類なし


概要

ストロンチウムは人体や自然界に存在する元素で、4つの安定同位体と12の放射性同位体が知られています。人体では99%以上が骨と歯に蓄積され、カルシウムと物理的・化学的に類似しており、骨への親和性が強い。


安全性

おそらく安全(LIKELY SAFE)

  • **食事由来の摂取(0.5〜1.5mg/日)**では毒性の報告なし。

  • ストロンチウム-89塩化物(静脈投与)はFDA承認済み。

  • **ストロンチウム塩(歯磨き粉用途)**はFDA承認済み。

おそらく安全(POSSIBLY SAFE)

  • **ストロンチウムラネレート(2g/日, 680mgのストロンチウム)**は最大10年の使用で安全性が示唆される。

おそらく安全ではない(POSSIBLY UNSAFE)

  • 高用量経口摂取: 骨の構造に影響を及ぼす可能性あり(680mg/日以上の摂取は避ける)。

  • **ストロンチウム塩(サプリメントとしての経口摂取)**の安全性は不明。

妊娠・授乳中:

  • 食事レベルの摂取は安全

  • ストロンチウム-89塩化物は危険(FDAカテゴリD): 胎児・授乳児に有害な可能性あり。

  • 高用量経口摂取の安全性不明: 使用を避けるべき。


副作用

  • 経口摂取(ストロンチウムラネレート): 良好に耐容されるが、まれに湿疹、下痢、頭痛、吐き気などの副作用あり。

  • 重篤な副作用(まれ): 心筋梗塞、骨軟化症、静脈血栓塞栓症


有効性

効果がある(EFFECTIVE)

  • 歯の知覚過敏: ストロンチウム含有歯磨き粉の使用により改善。

  • 骨転移による痛み: 静脈注射のストロンチウム-89が有効。

効果がある可能性が高い(LIKELY EFFECTIVE)

  • 骨粗鬆症: ストロンチウムラネレートが骨密度を増加させ、骨折リスクを低減。ただし安全性の懸念あり。

効果がある可能性がある(POSSIBLY EFFECTIVE)

  • 変形性関節症: ストロンチウムラネレートが脊椎および膝関節の進行抑制に有益な可能性。

  • 前立腺癌: ストロンチウム-89塩化物が進行抑制の可能性あり。

信頼できる証拠が不十分(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE)

  • 癌、虫歯予防、骨折治療、掻痒症(かゆみ)

さらなる研究が必要です。


投与と使用方法

成人の経口摂取:

  • ストロンチウムラネレート: 1〜2g/日(最大10年間使用可)。

  • 食事由来ストロンチウム: 0.5〜1.5mg/日。

  • カルシウム含有食品と同時摂取で吸収率60〜70%低下: 2時間以上間隔を空ける。

局所使用:

  • 歯磨き粉(Sensodyne-SC): 10% w/w ストロンチウム塩含有。


薬物相互作用

  • アンドロゲン: ストロンチウム排泄を減少させる可能性あり。

  • 制酸剤: ストロンチウムの吸収を減少させる可能性あり。

  • エストロゲン: ストロンチウム排泄を減少させる可能性あり。

  • キノロン系抗生物質: ストロンチウムが吸収を減少させる可能性あり。

  • テトラサイクリン系抗生物質: ストロンチウムが吸収を減少させる可能性あり。


サプリメントとの相互作用

  • アルギン酸、ラミナリア、カルシウム: ストロンチウムの吸収を減少させる可能性あり。

  • ビタミンD: ストロンチウムの吸収を増加させる可能性あり。


疾患との相互作用

  • 心血管疾患、脳血管疾患、腎疾患、パジェット病、末梢動脈疾患、血栓塞栓症: 使用に注意。


臨床検査との相互作用

  • カルシウム: ストロンチウムが影響を与える可能性あり。


栄養素の欠乏

  • コルチコステロイド: ストロンチウムレベルを低下させる可能性あり。


過剰摂取

ストロンチウムの過剰摂取に関する信頼できる情報はありません。


市販製品に含まれるストロンチウム

  • Sensodyne Original: 10% w/w ストロンチウム塩。

  • Metastron(GE Healthcare): 骨転移痛緩和のための放射性医薬品。


作用機序(メカニズム)

  • 抗関節炎作用: コラーゲン・軟骨形成を刺激。

  • 抗がん作用: ストロンチウム-89は骨腫瘍・転移骨に集積し、選択的に照射。

  • 骨形成作用: ストロンチウムラネレートは骨芽細胞を刺激し、骨吸収を抑制。

注意: 高用量摂取は骨の質に影響を与え、骨軟化症やくる病を引き起こす可能性あり。


総評

ストロンチウムは骨や歯に蓄積し、骨密度向上の効果が期待されるが、高用量摂取にはリスクが伴う。 骨粗鬆症や関節症の治療には有望な可能性があるが、長期使用の安全性には注意が必要。

 


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