リガンドロール(Ligandrol (LGD-4033))

投稿者 :リンクプロ on

学名

4-(2-(2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシエチル)ピロリジン-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル


概要

リガンドロール(一般的にLGD-4033と呼ばれる)は、**選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)**です。この化合物はアンドロゲン受容体に選択的に結合し、アナボリックステロイドのような効果を発揮する一方で、副作用を少なくすることを目的としています。筋肉増強や運動パフォーマンスの向上、さらにはカヘキシア(体重減少症)や骨粗しょう症などの治療への応用が期待されていますが、リガンドロールは医療研究以外でのヒト使用は認められていません。


警告

  • 規制状況: リガンドロールはFDA(米国食品医薬品局)によって食品サプリメントへの配合が禁止されています。また、**世界アンチ・ドーピング機構(WADA)全米大学体育協会(NCAA)**によっても使用が禁止されています。
  • 安全性の懸念:
    • 肝毒性心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中)との関連が報告されています。
    • 使用後、尿検査で20日間検出可能です。
    • 違法にオンラインで販売される場合があり、多くの場合はサプリメントとして誤表示されています。

安全性

  • おそらく安全ではない: 経口または注射による使用。臨床研究では0.1~1.0 mg/日を3週間まで使用した場合に安全とされていますが、肝毒性や心血管リスクに関する懸念が残ります。
  • 妊娠・授乳中: 推奨されません。SARMは危険性が高いため、妊娠中や授乳中は使用を完全に避けるべきです。

副作用

  • 一般的な副作用:
    • 疲労、頭痛、軽度の消化不良。
    • ホルモンバランスの乱れ(テストステロン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の低下)。
  • 重篤な副作用:
    • 肝毒性: 肝機能酵素の上昇および肝臓の損傷。
    • 心血管リスク: 心筋梗塞や脳卒中の可能性。

効果

以下の用途について十分な証拠はありません

  1. 運動パフォーマンス: パフォーマンス向上に関する強力な証拠はありませんが、運動選手が乱用するケースがあります。
  2. 筋力と筋肉量: 低用量(1 mg/日)でわずかな筋肉量の増加が確認されていますが、筋力の改善には至りませんでした。
  3. 骨の健康: 動物研究では結果が混在しており、骨密度や代謝の改善には限定的な効果しか見られません。
  4. カヘキシアと乳がん: 研究不足。

用量

  • 臨床研究:
    • 医療監督下で0.1~1.0 mg/日を3週間まで使用。
  • 違法使用: 運動選手やボディビルダーは臨床研究の**10~100倍(10 mg/日以上)**を摂取し、副作用のリスクを大幅に増大させています。

作用機序

  • 選択的結合: リガンドロールは筋肉や骨組織のアンドロゲン受容体に選択的に結合し、他の組織への影響を最小限にしながらアナボリック活性を刺激します。
  • ホルモンへの影響: 低用量でも内因性テストステロンの生成を抑制し、ホルモンバランスに影響を与えることがあります。

薬物動態

  • 吸収: 経口摂取後、血漿濃度が数時間以内に上昇。
  • 排泄: 半減期は24~36時間。尿中に代謝物として排泄されます。

相互作用

薬物との相互作用

  1. 肝毒性のある薬剤: リガンドロールは肝臓へのダメージを増加させる可能性があります。

サプリメントとの相互作用

  1. 肝毒性のあるサプリメント: 併用により肝毒性のリスクが増大する可能性があります。

影響を受ける可能性のある疾患

  • 肝疾患: 肝機能が悪化する可能性があるため使用は避けるべきです。
  • 心血管疾患: 心筋梗塞や脳卒中のリスクが増大します。

市販製品

リガンドロールは違法にオンラインで販売されており、運動能力向上薬として宣伝されています。正規の医薬品としては、管理された研究のみに使用され、一般に販売されていません。


結論

リガンドロールは筋肉減少症や骨粗しょう症の治療に応用できる可能性がありますが、安全性に関する懸念と規制の問題により、医療目的以外での使用は推奨されません。特に肝毒性や心血管の健康へのリスクは、運動パフォーマンス向上の未証明の利益を大きく上回ります。


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