グラビオラ(Graviola)

投稿者 :リンクプロ on

学名
Annona muricata(別名:Annona macrocarpa、Annona cherimola)

科名
バンレイシ科(Annonaceae)


概要

グラビオラは北アメリカや南アメリカの熱帯地域を原産とする常緑樹です(高さ5~8メートル)(92875, 95044)。アフリカやアジアでも見られます(95045)。この樹は心臓形で緑色の大きな果実をほぼ一年中生産します(92875, 94045)。伝統的には鎮静剤、抗生物質、抗寄生虫薬、催吐剤として使用されてきました。


安全性

  • 摂取時のリスク
    可能性として危険... 大量のグラビオラ果実や葉を用いたお茶を日常的に摂取することは、パーキンソン病に似た運動障害のリスクを高めるとされます(7854)。

  • 妊娠・授乳中
    可能性として危険... 口から摂取することは避けるべきです(7854)。


副作用

  1. 一般的な副作用
    • 消化不良、胃痛、吐き気。
  2. 重大な副作用(稀)
    • 運動障害、神経筋障害(ミエロニューロパチー)。

効果効能

現時点で信頼できる十分なエビデンスはなく、以下の用途についても効果は不明です。

  • がん:がん治療への使用に関心があるものの、信頼性の高い情報が不足しています。
  • 咳、糖尿病、頭痛、膀胱がん、HPV(ヒトパピローマウイルス):いずれも単独での効果は不明です。

投与量と使用方法

成人:研究が限られており、一般的な投与量は確立されていません。


薬物との相互作用

  • カルバマゼピン(Tegretol)
    • グラビオラはカルバマゼピンの血中濃度を低下させる可能性があります。注意が必要です。

作用機序

グラビオラには果実、種子、葉、根、樹皮が利用されます。以下の有効成分が含まれています。

  • アセトゲニン(acetogenins)

    • 約220種類以上のアセトゲニンが含まれ、毒性(特に神経筋障害)の原因とされています(95045)。
    • 主成分であるアノナシン(annonacin)は神経細胞に対する毒性を持ち、特に葉や種子に多く含まれます。
  • アルカロイド

    • リラクゼーション作用や抗うつ作用を持つ一方で、低濃度で神経毒性を示します。
  • フラボノイド、ステロール、フェノール類

    • 抗酸化作用や抗炎症作用を発揮します。
  • その他の成分

    • ビタミン、カロテノイド、必須脂肪酸(リノール酸、パルミチン酸)など。

主な効果の詳細

  1. 抗炎症作用

    • 腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイキン(IL-1β)を減少させ、炎症を抑制します。
    • 動物実験では鎮痛効果も報告されています。
  2. 抗がん作用

    • アセトゲニンがミトコンドリアの機能を抑制し、がん細胞の増殖を抑える可能性があります。
    • 一部の研究では腫瘍サイズの縮小が確認されていますが、ヒトでの効果は未確認です。
  3. 抗酸化作用

    • 酸化ストレスを軽減する酵素(カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ)を活性化します。
  4. 抗寄生虫作用

    • マラリア、リーシュマニア症、シャーガス病などの寄生虫に対して活性を示します。
  5. 神経毒性

    • アセトゲニンやアルカロイドは神経細胞に毒性を示し、特に運動障害のリスクを高める可能性があります。

まとめ

グラビオラは伝統的な薬用植物としての可能性が注目されていますが、特に神経毒性や長期摂取時の安全性については懸念があります。摂取を考える際は、医療従事者の指導を受けることを推奨します。


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