ヨーロピアン・バーベリー (European Barberry)
投稿者 :リンクプロ on
学名
Berberis vulgaris(別名: Berberis jacquinii, Berberis sanguinea)
科名
メギ科 (Berberidaceae)
注意
ヨーロピアン・バーベリーは「オレゴングレープ (Oregon Grape)」と呼ばれることもありますが、別の植物である「オレゴングレープ」と混同しないようにしてください。
概要
ヨーロピアン・バーベリーはアジア、ヨーロッパ、北米に生息する高木状の低木です。その根、樹皮、葉、果実は、中国、ネイティブアメリカン、インドの民間療法で何世紀にもわたり使用されてきました。心血管、消化器系、筋骨格系、呼吸器系、泌尿器系の疾患や胆嚢、肝臓、腎臓、脾臓の疾患に対する治療に伝統的に用いられてきました。
安全性
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経口で食品として摂取する場合
- 安全性あり:果実は一般的な食品量であれば安全と考えられています。
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新生児に使用する場合
- 危険:ヨーロピアン・バーベリーに含まれる成分ベルベリンは、新生児(特に高ビリルビン血症の未熟児)に核黄疸を引き起こす可能性があります。
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妊娠中の使用
- 危険:ベルベリンが胎盤を通過し、胎児に有害となる可能性があるため、経口での使用は避けてください。
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授乳中の使用
- 危険:ベルベリンや他の有害成分が母乳を介して乳児に移行する可能性があります。
副作用
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一般的な副作用
- 果実は食品として摂取する場合は一般的に良好に耐えられます。
- 医療用量や外用量に関しては安全性データが不足しています。
有効性
信頼できる十分なデータがないため、多くの使用目的について効果の評価は困難です。以下は研究で特に関心を持たれている適応症ですが、さらなる証拠が必要です。
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にきび、歯肉炎、糖尿病、高脂血症
効果に関する証拠は不十分です。 -
がん、痛み、胃腸の健康、腎臓結石
伝統的な使用歴があるものの、効果に関する証拠は不十分です。
投与方法と用量
成人の場合
- 経口:用量は症状や目的によりますが、伝統的な使用では粉末や抽出物が用いられます。
子どもの場合
- 経口:新生児には使用しないでください。その他の年齢層における使用については研究が限られています。
作用機序
ヨーロピアン・バーベリーの有効部分は果実、根、樹皮です。主成分としてベルベリンが挙げられます。以下のような作用があります。
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抗炎症作用
- ベルベリンがシクロオキシゲナーゼ(COX-2)の発現を選択的に抑制することが示唆されています。
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抗菌作用
- ベルベリンはグラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、マイコバクテリア、原虫に対して抗菌活性を示します。
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抗酸化作用
- ベルベリンはビタミンEに匹敵する抗酸化作用を持つとされています。
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心血管作用
- 血管拡張、降圧、抗不整脈効果が示唆されています。
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消化器作用
- 胃酸分泌を抑制し、小腸の通過時間を遅延させる作用があります。
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腎臓保護作用
- 動物実験で腎臓の酸化ストレスを軽減し、腎機能を改善する可能性が示されています。
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抗がん作用
- ベルベリンが特定のがん細胞の成長を阻害する作用が試験管内で確認されています。
注意事項と相互作用
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薬物との相互作用
- 抗凝固薬、抗糖尿病薬、降圧薬、鎮静薬、CYP3A4基質との併用には注意が必要です。
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サプリメントとの相互作用
- 抗血小板作用や降圧作用を持つハーブやサプリメントとの併用は避けるべきです。
ヨーロピアン・バーベリーは伝統的な用途が豊富な植物ですが、その有効性や安全性については十分な研究がされていません。特に妊娠中、授乳中、新生児に対する使用は避けるべきです。
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- タグ: サプリメント