Phosphatidylcholine(ホスファチジルコリン)
概要
ホスファチジルコリンは、全身の細胞膜、リポタンパク質、胆汁に含まれるリン脂質の一種です。他のリン脂質と同様に、脂肪の吸収や輸送を助ける乳化剤として作用します。また、ホスファチジルコリンは必須栄養素であるコリンの貯蔵庫として機能します。化粧品や医薬品にも利用されています。
安全性
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経口使用
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おそらく安全:適切に使用すれば安全性が高いとされています。最大30 g/日を6週間、または6 g/日を24か月まで使用しても副作用は少ないとされています。
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皮下注射
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おそらく安全:短期間で適切に使用すれば、重大な副作用はないと報告されています。
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妊娠中
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おそらく安全:妊娠18週以降に5 g/日までの経口使用が安全とされています。
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授乳中
- 信頼できる情報が不足しているため、使用は避けるべきです。
副作用
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一般的な副作用
- 経口使用:味覚の変化、膨満感、下痢、発汗、吐き気。
- 皮下注射:注射部位の腫れ、痛み、かゆみ、赤み。
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稀な重篤な副作用
有効性
おそらく有効
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潰瘍性大腸炎
- 限られた研究では、ホスファチジルコリン製品が臨床的および寛解スコアを改善する可能性が示唆されています。
信頼できる証拠が不十分
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アルコール関連肝疾患、認知症、**脂肪沈着(皮下脂肪)**など、多くの用途については効果が不明です。
投与量と使用方法
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成人の経口使用
- 1.05~6 g/日が一般的で、最大24週間使用されています。
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注射使用
- 限られた研究が行われており、典型的な用量は不明です。
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局所使用
- 現在、研究が限られており、用量に関する詳細はありません。
相互作用
作用機序
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脂肪分解効果
- 脂肪細胞膜を破壊し、脂肪を溶解して肝臓で代謝されることを助けると考えられています。
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消化管の保護
- 大腸粘膜の保護に役立つ可能性があり、潰瘍性大腸炎の治療効果が期待されています。
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肝保護効果
- 肝線維症やアルコールによる酸化ストレスからの保護効果が動物実験で示唆されています。
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神経系の効果
- コリンの主要な貯蔵源であり、神経伝達物質アセチルコリンの前駆体として記憶改善への可能性が示されています。
要約
ホスファチジルコリンは、潰瘍性大腸炎や脂肪分解、美容用途などで注目されていますが、多くの効果についてはさらなる研究が必要です。適切な使用で副作用が少ないため、特定の条件下で安全に使用できます。
References