フェニルアラニン(Phenylalanine)

投稿者 :リンクプロ on

学名

2-アミノ-3-フェニルプロピオン酸


概要

フェニルアラニンは必須アミノ酸であり、体内でタンパク質の構成成分として重要です【92703】。自然界に存在する L-フェニルアラニン は、肉、魚、卵、チーズ、牛乳などの食品に含まれています【2023】。もう一方の D-フェニルアラニン の生理活性は不明確で、DL-フェニルアラニン は50%のL型と50%のD型を含む合成製品です【2052】。


安全性

  • 高い可能性で安全

    • L-フェニルアラニンは通常の食品に含まれる量で摂取する場合、安全と考えられています【11120】。
  • 可能性として安全

    • L-フェニルアラニン:1日あたり100 mg/kg以下の用量で最長3ヶ月間【2463】。
    • D-フェニルアラニン:1日1g以下または単回投与4-10g【2455】。
    • DL-フェニルアラニン:1日200 mg以下で最長4週間【2468】。
  • 妊娠と授乳

    • 妊娠中の安全性は摂取量に依存します。フェニルケトン尿症(PKU)の患者は血中フェニルアラニン濃度を適切に管理する必要があります【1402】。
    • 授乳中に食品由来のフェニルアラニンを摂取するのは一般的に安全とされていますが、高用量や医薬品としての使用については情報が不足しています。

副作用

  • 一般的な副作用
    • 経口摂取:不安、便秘、頭痛、胸やけ、不眠、吐き気、眠気。
    • 局所使用:焼けるような感覚、発赤、かゆみ。

有効性

可能性がある有効性

  • 白斑(Vitiligo)
    L-フェニルアラニンを紫外線(UVA)治療と組み合わせて使用することで、成人および子どもの白斑の症状がわずかに改善される可能性があります。

効果がない可能性

  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)
    経口フェニルアラニンはADHDに対して効果がないとされています。
  • 慢性疼痛
    D-フェニルアラニンは慢性疼痛の緩和に効果がないようです。

十分な証拠がない

  • 加齢肌アルコール使用障害うつ病肥満急性疼痛 など、多くの用途について十分な証拠がありません。

用量と使用方法

成人

  • 経口摂取

    • L-フェニルアラニン:1日250mgまたは100mg/kgまで最長3ヶ月。
    • D-フェニルアラニン:1日50mg〜1gで2〜4週間。
    • DL-フェニルアラニン:1日50〜200mgで2〜4週間。
  • 局所使用

    • L-フェニルアラニン10%クリーム、またはウンデシレノイルフェニルアラニン2%クリームが使用されています。

薬剤との相互作用

  1. バクロフェン(Baclofen)

    • フェニルアラニンの摂取が腸でのバクロフェンの吸収を減少させる可能性があります。
  2. レボドパ(Levodopa)

    • 重大な相互作用:フェニルアラニンがレボドパの効果を減少させる可能性があります。
  3. モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOIs)

    • 注意が必要:併用すると高血圧クリーゼのリスクが高まる可能性があります。

作用機序

  • 抗うつ効果
    L-フェニルアラニンはノルエピネフリンの前駆体であり、気分や注意力を改善する神経調節物質2-フェニルエチルアミンに変換される可能性があります。
  • 鎮痛効果
    D-フェニルアラニンはエンケファリンの分解を抑制し、痛みのしきい値を上げる可能性があります。

フェニルアラニンは食品やサプリメントで摂取される一般的なアミノ酸ですが、特定の健康状態(PKUなど)では管理が必要です。また、高用量使用には注意が求められます。

References

See Monograph References

 


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