学名
Homotaurine
分類
アミノ酸類 (ただしタンパク質合成には関与しない)
概要
ホモタウリンは、天然では一部の藻類に含まれるアミノ酸で、抑制性神経伝達物質であるガンマアミノ酪酸 (GABA) のアナログです。過去にはアルツハイマー病治療薬として研究されていましたが、北米での第3相試験で有効性が確認されず、製薬企業はヨーロッパでの試験を中止しました。その後、ホモタウリンは栄養補助食品として市場に登場しました。
利用用途
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経口で:
- アルツハイマー病、認知機能障害、加齢に伴う認知機能低下、脳アミロイドアンジオパチー、緑内障、パーキンソン病。
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外用で:
安全性
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経口使用:
最大150 mgを1日2回、36か月間の使用で安全性が示唆されています。
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妊娠・授乳中:
信頼できる情報が不足しているため、使用を避けてください。
副作用
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一般的な副作用:
- 吐き気、嘔吐、下痢、めまい、頭痛、睡眠障害が報告されています。
効果
有効性に関する信頼できるエビデンスが不足しているもの:
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アルツハイマー病: 大規模試験では、認知機能改善効果がプラセボと差がないとされています。ただし、軽度症状の患者やAPOE4/4ホモ接合体の患者において、進行を抑制する可能性が示唆されています。
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認知機能障害: 初期研究では、短期記憶の改善が観察されています。
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緑内障: シトコリンやビタミンEとの併用で視覚機能や生活の質の向上が報告されていますが、単独での効果は不明です。
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パーキンソン病: 初期研究では、運動症状に対する改善は観察されませんでしたが、日中の眠気にわずかな効果がある可能性があります。
投与量
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アルツハイマー病:
150 mgを1日2回、78週間。
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認知機能障害:
50 mgを1日2回で2週間、その後100 mgを1日2回で50週間。
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緑内障:
50 mgのホモタウリン、500 mgのシトコリン、12 mgのビタミンEを1日1回、4か月間。
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パーキンソン病:
50 mgを1日2回、6か月間。
薬物相互作用
- 現時点で知られている薬物との相互作用はありません。
作用機序
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抗認知症作用: ホモタウリンはアミロイドβペプチドと結合し、アミロイドプラークの形成を阻害します。このメカニズムは、アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性があります。
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抗炎症作用: ホモタウリンは炎症性サイトカイン(IL-18)のレベルを低下させ、抗炎症性サイトカイン(IL-10、IL-33)のレベルを増加させることが報告されています。
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GABA様作用: ホモタウリンはGABA-AおよびGABA-B受容体のアゴニストとして機能し、神経保護および免疫調節作用を持つと考えられています。
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眼科的効果: アミロイド凝集を阻害し、網膜神経節細胞の死を防ぐ可能性があります。
注意事項
- 信頼性の高いデータが不足しているため、長期使用や高用量使用には注意が必要です。
- サプリメントとして販売されていますが、特定の病状に対する効果は科学的に確立されていません。
References