学名
Pinus pinaster (シノニム: Pinus maritima)
概要
マリタイムパインは、地中海地域(スペイン、フランス、ポルトガル、イタリア、クロアチア、モロッコ)原産のマツ科の樹木です。この樹皮から抽出されるエキスは、さまざまな健康目的のためにサプリメントとして使用されています。特に、フランス産のマリタイムパイン樹皮抽出物「ピクノジェノール(Pycnogenol)」は、商標登録された製品として広く利用されています。
安全性
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経口摂取:
標準化された樹皮抽出物(Pycnogenol)は、50〜450 mg/日を1年間までの期間で安全に使用された実績があります。一部の研究では、800 mg/日を16日間使用しても安全とされています。
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外用:
標準化された樹皮抽出物(Pycnogenol)0.5%クリームやパウダーが、最大6週間まで安全に使用された実績があります。
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妊娠・授乳:
妊娠後期に30 mg/日を安全に使用した研究がありますが、さらなるエビデンスが必要です。授乳中の安全性については情報が不足しているため、使用を避けてください。
副作用
- 一般的に安全とされていますが、以下の副作用が報告されています:
効果が期待できる可能性のある用途
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喘息: 通常の喘息治療の補助として症状を改善し、救急吸入器の使用頻度を減少させる可能性があります。
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慢性静脈不全(CVI): 脚の痛みやむくみを軽減し、浮腫を改善する可能性があります。
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変形性膝関節症: 症状をわずかに改善し、鎮痛剤の必要性を減少させる可能性があります。
効果が不十分な用途
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脂質異常症: 脂質レベルの改善には効果がない可能性があります。
評価が不十分な用途
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加齢による認知機能低下: 高齢者の認知機能を改善するかどうかは不明です。
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糖尿病: 2型糖尿病患者の血糖コントロールをわずかに改善する可能性がありますが、さらなる研究が必要です。
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メラスマ: 美白効果があるかどうかは不明です。
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勃起不全: L-アルギニンとの併用で性的機能を改善する可能性があります。
推奨用量
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成人(経口摂取):
50 mgを1日2〜3回、または450 mg/日を最大1年間使用。
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小児:
1 mg/体重ポンド(1ポンドは約0.45 kg)を1日1回、最大3か月間使用された例があります。
作用機序
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抗炎症作用: COX-1およびCOX-2活性の抑制、CRP(C反応性タンパク質)レベルの低下など。
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抗酸化作用: 活性酸素種(ROS)の生成を抑制し、ビタミンCやEのレベルを維持。
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抗アレルギー作用: ヒスタミンの放出を抑制し、炎症性メディエーターの生成を減少させます。
注意点
- 抗凝固薬(ワルファリンなど)や糖尿病治療薬との併用により、出血リスクや低血糖リスクが増加する可能性があります。
- 手術前の使用は避けてください(出血リスクを増加させる可能性あり)。
臨床での利用
- 慢性静脈不全、変形性膝関節症、糖尿病、喘息などの症状改善が期待されていますが、他の多くの用途についてはさらなる研究が必要です。