エクオール(Equol)

投稿者 :リンクプロ on

科学名
(3S)-3-(4-Hydroxyphenyl)-7-chromanol

概要
エクオールは、イソフラボンの一種であるダイゼイン(大豆由来)から腸内細菌によって生成される非ステロイド系エストロゲンです。エクオールには2つのエナンチオマー(鏡像異性体)であるR-エクオールとS-エクオールが存在しますが、腸内で生成されるのはS-エクオールのみであり、その生物学的効果が注目されています。
S-エクオールの生成量は、食事の大豆含有量、年齢、民族性などの要因によって異なります。欧米諸国では成人の約20~30%がエクオールを生成できる一方、欧米の菜食主義者やアジア諸国の成人では40~60%が生成可能とされています。


安全性

高い安全性が見込まれる
エクオールは経口摂取で適切に使用される場合、安全性が高いとされています。最大30mg/日の用量で最長12週間、また40mg/日で8週間、10mg/日で1年間の使用が研究で確認されています。

妊娠・授乳中: 十分な信頼できる情報がないため、使用は避けてください。

副作用

  • 一般的な副作用: 腹部膨満感、便秘が報告されています。
  • まれな重篤な副作用: 抑うつ症状。

効果の可能性

  1. 効果がある可能性があるもの

    • 更年期症状: S-エクオールの経口摂取は、更年期のホットフラッシュなどの症状を軽減する可能性があります。
  2. 十分な証拠がないもの

    • 肌の老化: 加齢に伴う皮膚の改善効果は不明。
    • 乳がん: 乳がん治療への効果は不明。
    • 心血管疾患(CVD): 予防または治療の効果は不明。
    • 認知機能障害: 予防または治療の効果は不明。
    • 糖尿病: 2型糖尿病予防効果は不明。
    • 脂質異常症: 効果は不明。
    • メタボリックシンドローム: 効果は不明。
    • 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD): 効果は不明。
    • 骨粗しょう症: 効果は不明。
    • 前立腺がん: 効果は不明。

用法・用量

成人

  • 通常は10mg/日を最大1年間使用。30mg/日や40mg/日も短期間(8~12週間)で使用された例があります。
  • 食事と一緒に摂取すると吸収が遅れる可能性があります。

作用機序

  1. 抗アンドロゲン作用
    エクオールはジヒドロテストステロン(DHT)と結合し、その受容体への結合を阻害します。これにより、DHTが前立腺の成長を刺激する作用を抑制します。

  2. 抗がん作用
    エクオールはがん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導する可能性があり、いくつかの分子メカニズムが示唆されています。

  3. 骨への作用
    S-エクオールがエストロゲン受容体βに作用し、骨形成や骨代謝に関与すると考えられています。

  4. 心血管作用
    エクオールは抗酸化、抗炎症、血管拡張作用を持つ可能性があり、低密度リポタンパク質(LDL)の酸化を抑制し、一酸化窒素(NO)産生を増加させます。

  5. エストロゲン作用
    S-エクオールはエストロゲン受容体βに選択的に結合し、ホルモン調節に類似した作用を持ちます。


相互作用

  1. 避妊薬・エストロゲン
    エクオールがエストロゲンの効果を増強する可能性があるため、注意が必要。

  2. 大豆
    大豆と同時に摂取すると、エクオールの効果が増強される可能性があります。


エクオールは、更年期症状の改善などに一定の期待がされていますが、まだ多くの使用目的で十分な証拠がありません。適切な用量と使用方法を守りつつ、医師や専門家と相談することをお勧めします。

References

See Monograph References


この投稿をシェアする



← 投稿順 新着順 →