学名
Indole-3-Carbinol
概要
インドール-3-カルビノール(I3C)は、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、キャベツ、ケールなどのアブラナ科野菜に含まれるグルコブラッシシン(Glucobrassicin)の分解生成物です。この化合物は、切断や調理などで植物細胞が損傷した際に酵素ミロシナーゼ(Myrosinase)によって生成されます (47621,93237)。
利用目的
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経口使用: 主に以下の目的で使用されます:
- 乳がん、子宮頸部異形成、大腸がん、卵巣がん、SLE(全身性エリテマトーデス)などの予防・治療。
- 再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)やその他のウイルス性疾患。
安全性
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可能性として安全(POSSIBLY SAFE)
経口で適切に使用した場合、安全性が示されています。400mg/日までの用量が3〜76ヶ月間使用されています (7173,93239)。
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子供: 限られた研究では、1.2〜16歳の子供において6〜17mg/kg体重の用量で最大76ヶ月間安全に使用されています (7172,93239)。
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妊娠・授乳中: 安全性に関する信頼できる情報が不足しているため、使用を避けるべきです。
副作用
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一般的な副作用
- 下痢、不均衡感、吐き気、発疹、震え、不安定感。
- しかし、これらは軽度であると報告されています。
有効性
十分なエビデンスがないもの
以下の疾患における有効性を評価するための十分な証拠はありません:
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乳がん、大腸がん、非メラノーマ性皮膚がん、卵巣がん
一部の研究で可能性が示唆されていますが、より多くの研究が必要です。
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子宮頸部異形成
一部の研究で改善が報告されていますが、信頼性の高い証拠が不足しています。
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再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)
HPV関連疾患の治療に役立つ可能性が示唆されていますが、さらなる研究が必要です。
投与と使用方法
成人用
- 通常、200mgを1日2回、最大5年間使用します (7173,93241)。
- 疾患別の使用量に関する詳細は「有効性」のセクションを参照してください。
子供用
- 限られた研究の中で、6〜17mg/kg体重の用量で使用されています。
標準化と製剤化
インドール-3-カルビノールの標準化に関する十分な情報はありません。
薬物との相互作用
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抗凝固薬/抗血小板薬
出血のリスクを増加させる可能性があります。
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CYP1A2基質
インドール-3-カルビノールはCYP1A2酵素を誘導し、これらの薬物の代謝を増加させ、血中濃度を低下させる可能性があります。
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エストロゲン
エストロゲン療法の効果を妨げる可能性があります。
作用機序
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抗エストロゲン効果
I3Cとその代謝物(例えばDIM)は、エストロゲン受容体のシグナル伝達と転写活性を減少させ、エストロゲンの結合部位と競合します。これにより、抗腫瘍効果が期待されています。
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抗腫瘍効果
DNA修復タンパク質の誘導、がん細胞のアポトーシス(細胞死)促進、そしてNF-κBの抑制を通じた抗がん作用があります。
注意点
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前がん性効果の懸念
I3Cが特定の状況下で発がん性を持つ可能性が議論されています。これには、CYP1B1酵素を介した発がん性代謝物の生成が含まれます。
分類
抗凝固薬、抗血小板薬、CYP1A2誘導剤
インドール-3-カルビノールは、抗腫瘍効果や抗エストロゲン効果を有する可能性が示唆されていますが、安全性と有効性についてはさらなる研究が必要です。
References