乳酸(Lactic Acid )

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Scientific Name

2-Hydroxypropionic acid


概要 (Overview)

乳酸はアルファヒドロキシ酸(Alpha Hydroxy Acids, AHAs)の一種で、柑橘類、サトウキビ、酸味のあるミルク、リンゴ、ブドウなど食品中に自然に含まれる酸です (6064,10104,95601)。主に化粧品に利用されるほか、米国食品医薬品局 (FDA) 承認の処方薬にも含まれる場合があります。ただし、これらの製品は本トピックの範囲外です。


安全性 (Safety)

  • 高い安全性
    適切に局所使用した場合、乳酸は安全とされています (952,106612,108408)。

    • 顔の皮膚には10%以下の濃度が安全。
    • 非顔面の皮膚には15%以下の濃度が安全。
    • 口腔内洗浄液(5%濃度)を7~14日間使用した場合も安全とされています (108168,108174)。
    • 膣内で2~7日間使用した場合も安全です (108169,108172)。
  • 使用に注意が必要な場合
    高濃度の乳酸やその他のアルファヒドロキシ酸の不適切な使用は、皮膚火傷の原因となる可能性があります。顔には10%以上、それ以外の部位には15%以上の濃度は、皮膚科医の指導のもとで使用すべきです (10101,106612)。

  • 妊娠・授乳中
    適切な濃度で局所使用する場合、安全とされています (949,952,955,106612)。ただし、経口使用については十分な信頼性のある情報がないため、避けることが推奨されます。


副作用 (Adverse Effects)

  • 一般的な副作用
    軽度の刺激、日光感受性、チクチク感。

  • まれな重篤な副作用
    高濃度の場合、以下のような症状が発生する可能性があります:
    皮膚癌のリスク増加、皮膚損傷、一時的な色素沈着、出血、水疱、火傷、かゆみ、赤み、皮膚の脱落、腫れなど。


効果 (Effectiveness)

  • 効果が認められている用途

    • 乾燥肌
      乳酸(乳酸塩やアンモニウム乳酸を含む)は乾燥肌の改善に有効です。
  • 十分な信頼性のある証拠が不足している用途

    • ニキビ、老化した肌、細菌性膣炎、口内炎、肝斑(メラスマ)、爪真菌症、脂漏性皮膚炎、尿路感染症(UTI)の予防、いぼ(尋常性疣贅)など。

さらなる研究が必要です。


用法・用量 (Dosing & Administration)

成人

  • 局所使用:乳酸4~15%を含むローションやクリームを1日1~2回、2~6か月間使用。
  • 短時間接触型ピーリング(85%濃度)は4週間ごとに使用することができますが、医師の監督下で行うべきです。

子供

研究が限られており、標準的な用量は不明です。


標準化と製剤 (Standardization & Formulation)

乳酸を含む製剤にはクリーム、ローション、溶液があります (952,954,955)。製品ラベルに成分濃度が記載されているものを選ぶことが推奨されます。


相互作用 (Interactions)

薬物・サプリメントとの相互作用

知られていません。

敏感肌の個人

乳酸の使用により刺激が生じる可能性があります。


過剰摂取 (Overdose)

乳酸の過剰摂取に関する情報は不十分です。


作用機序 (Mechanism of Action)

  • 皮膚効果
    乳酸は死んだ皮膚細胞の最上層を剥離させることで、乾燥肌や老化肌を改善します (6064,106612)。また、5~12%濃度では皮膚の厚みを増加させ、弾力を向上させることが知られています。

  • 創傷治癒
    乳酸は血管内皮増殖因子(VEGF)の分泌を増加させ、血管新生および創傷治癒を促進します (108168)。


分類 (Classifications)

光感作物質、アルファヒドロキシ酸

References

See Monograph References


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