ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)

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学名

Lactobacillus delbrueckii


概要 (Overview)

Lactobacillus delbrueckii(L. delbrueckii)は乳酸を生成するグラム陽性、棒状、嫌気性細菌で、ヒト体内に自然に存在します。この菌種は、サプリメントや機能性食品に含まれるプロバイオティクスとして特定の株が使用されています。特にヨーグルトや発酵乳の製造によく利用されます。これらは腸内環境の改善や健康維持に役立つ可能性があります (90605,101513)。


警告 (Warnings)

  • 分類変更
    2020年の再分類後もL. delbrueckiiはLactobacillus属に留まっています。Lactobacillus bulgaricusは現在、L. delbrueckiiの亜種とされています。

  • 壊死性腸炎(NEC)
    L. delbrueckiiに関する信頼できるエビデンスはなく、NEC予防のための推奨はありません。特に低出生体重児への投与では感染のリスクが懸念されています。


安全性 (Safety)

  • 成人
    L. delbrueckiiは通常の食品(例:ヨーグルト)で安全に摂取されています。ただし、プロバイオティクスとしての適切な用量と使用期間については明確なデータが不足しています。

  • 子ども
    小児における安全性に関する信頼できるデータは不足しています。

  • 妊娠中・授乳中
    妊娠中および授乳中の安全性についての信頼できる情報は不足していますが、適切に使用すれば安全と考えられます。


副作用 (Adverse Effects)

  • 一般的には経口摂取で良好に耐容されます。
  • まれな重篤な副作用: 感染の可能性が懸念されています。

効果 (Effectiveness)

信頼性が不十分な用途

  • 抗生物質関連下痢症: 効果があるかどうか不明です。
  • 胃腸の健康: いくつかの研究では、他のプロバイオティクスとの組み合わせで腸内環境を改善する可能性が示唆されています。
  • 乳糖不耐症: 効果に関するデータが不足しています。
  • 免疫機能の改善: 高齢者で免疫細胞(ナチュラルキラー細胞など)の増加や炎症性サイトカインの減少が報告されていますが、さらなる研究が必要です。

用法・用量 (Dosing & Administration)

  • 成人の経口用量: ヨーグルトや発酵乳製品を介して摂取されることが多いです。
  • プロバイオティクス製品: 用量はCFU(コロニー形成単位)で表され、製品や用途によって異なります。

作用機序 (Mechanism of Action)

  • 免疫調節効果:
    L. delbrueckiiは腸内や粘膜免疫を調整し、炎症性サイトカイン(IL-8)のレベルを低下させる可能性があります。また、ナチュラルキラー細胞の割合を増加させることが示されています。高齢者での研究では、サリバリーIgAレベルの増加も確認されています。

  • 抗生物質関連下痢症:
    抗生物質治療中の正常フローラの維持や病原菌の定着を防ぐ可能性が示唆されています。

  • 創傷治癒:
    動物モデルでは、L. delbrueckiiを局所適用することで炎症細胞が減少し、線維芽細胞の数が増加して治癒が促進されることが確認されています。


相互作用 (Interactions)

薬物との相互作用

  • 抗生物質: 抗生物質との併用により、L. delbrueckiiの効果が減少する可能性があります。

まとめ (Summary)

Lactobacillus delbrueckiiは、特に発酵乳製品やヨーグルトにおいて一般的に使用される安全なプロバイオティクス菌株です。腸内環境改善や免疫機能調整などの健康効果が期待されていますが、特定の医療用途に関するエビデンスは限定的であり、さらなる研究が必要です。

References

See Monograph References


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