ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)

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学名

Lactobacillus crispatus


概要 (Overview)

Lactobacillus crispatus(L. crispatus)は、乳酸を生成するグラム陽性、棒状、嫌気性細菌であり、ヒトの体内に自然に存在します。特定の株がプロバイオティクスとしてサプリメントや機能性食品に含まれています。これらは食品成分として摂取され、健康効果が確認されています (90605,101513,110945)。


警告 (Warnings)

  • 分類変更
    L. crispatusは2020年の再分類後もLactobacillus属のままであり、分類名の変更はありません。

  • 壊死性腸炎(NEC)
    低出生体重児に対して、いくつかのプロバイオティクス製品がNEC予防の効果を持つとされていますが、L. crispatusの有効性を支持するエビデンスはありません。


安全性 (Safety)

  • 成人
    L. crispatusは経口で最大20億CFU(コロニー形成単位)を12ヶ月間、または膣内で最大20億CFUを最大5日間安全に使用されています。

  • 子ども
    小児での安全性についての信頼できるデータは不足しています。

  • 妊娠中・授乳中
    妊娠中および授乳中の安全性に関する信頼できる情報は不足していますが、適切に使用すれば安全と考えられます。


副作用 (Adverse Effects)

  • 一般的には経口および膣内での使用は良好に耐容されます。
  • まれな重篤な副作用: 一部の人で感染症のリスクが懸念されています。

効果 (Effectiveness)

効果がある可能性がある用途

  • 細菌性膣炎の再発予防: 膣内投与が細菌性膣炎の再発予防に有効である可能性があります。経口投与の効果は不明です。

信頼性が不十分な用途

  • B群連鎖球菌(GBS)感染: 効果に関する信頼できるデータが不足しています。
  • HIV/AIDS予防: 膣内投与でHIV感染リスクを減少させる可能性があるとされていますが、データが不足しています。
  • HPV: ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する効果は不明です。
  • 尿路感染症(UTIs): 経口投与がUTI予防に効果的かどうかは不明です。

用法・用量 (Dosing & Administration)

  • 成人の経口用量: 研究では用量がさまざまです。通常は最大20億CFUが使用されます。
  • 膣内用量: カプセルまたは坐剤として使用され、一般的には最大20億CFUが投与されます。

作用機序 (Mechanism of Action)

  • 膣内健康: L. crispatusは膣内の乳酸生成により微生物バランスを維持し、病原菌の増殖を抑制します。また、膣上皮細胞への接着能力があり、炎症性サイトカイン(IL-1α)のレベルを低下させることが示されています (110943)。
  • 口腔健康: 死菌および生菌の両方が歯周病に関連する症状を軽減する可能性があります。L. crispatusは、Porphyromonas gingivalisの減少に寄与します。
  • 免疫調節: 体内の免疫応答を調節し、膣上皮のバリア機能を保護する可能性があります。

相互作用 (Interactions)

薬物との相互作用

  • 抗生物質: L. crispatusの有効性が低下する可能性があるため、併用時には注意が必要です。

まとめ (Summary)

Lactobacillus crispatusは主に膣内健康の維持や細菌性膣炎の予防に有望なプロバイオティクスです。適切な用量で使用すれば安全ですが、用途による効果のエビデンスには限りがあり、さらなる研究が必要です。

References

See Monograph References


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