ラクチカセイバチルス・パラカセイ(Lacticaseibacillus paracasei)

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学名

Lacticaseibacillus paracasei


概要 (Overview)

Lacticaseibacillus paracasei(L. paracasei)は、乳酸を生成するグラム陽性、棒状、ホモ発酵性の嫌気性細菌です。L. paracaseiは人間の口腔内や発酵食品(穀物、野菜、肉、乳製品)に存在します。また、特定の株はプロバイオティクスとしてサプリメントや機能性食品に使用されます。プロバイオティクスとは、食品や食品成分として摂取される生きた微生物で、健康効果が確認されています (90605,101513)。


警告 (Warnings)

  • 分類変更
    2020年4月、Lactobacillus属は25の異なる属に再分類され、L. paracaseiは新たにLacticaseibacillus属に分類されました。ただし、製品ラベルや出版物では引き続き旧名称であるLactobacillus paracaseiとして記載されている場合があります。

  • COVID-19
    L. paracaseiがCOVID-19の予防や治療に有効であるという確かな証拠はありません。

  • 壊死性腸炎 (NEC)
    低出生体重児のNEC予防にプロバイオティクスが有益とされる場合がありますが、L. paracaseiは特に推奨されていません。また、極端に低出生体重の乳児においては、プロバイオティクスによる感染リスクがあると警告されています。


安全性 (Safety)

  • 成人
    適切に使用した場合、L. paracasei(生菌および加熱不活化)は安全とされています。生菌は最大4年間、加熱不活化菌は最大3か月間の使用で安全性が確認されています。

  • 子ども
    1歳から18歳の子どもにおいても、安全に使用できます。ただし、極端に低出生体重の乳児(1,000グラム未満)では安全性が確認されていないため、注意が必要です。

  • 妊娠中・授乳中
    妊娠中および授乳中の使用についても安全性が確認されていますが、適切な用法に従う必要があります。


副作用 (Adverse Effects)

  • 一般的に、L. paracaseiは経口摂取で良好に耐容されます。
  • 軽度の胃腸障害が最も一般的です。
  • まれに感染症のリスクがあります。

効果 (Effectiveness)

効果が示唆されている用途

  • アレルギー性鼻炎(花粉症)
    経口摂取で症状を改善する可能性があります。

  • アトピー性皮膚炎
    妊娠中または授乳中の母親が摂取した場合、乳児の発症を予防する可能性があります。

  • 風邪
    L. paracaseiと他のプロバイオティクスの組み合わせが風邪の頻度や重症度を減少させる可能性があります。

効果が不十分または効果なしの用途

  • 便秘
    効果が確認されていません。

  • 抗生物質関連下痢
    単独での効果は不明です。

  • その他(糖尿病、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎など)
    これらの用途については信頼できるデータが不足しています。

さらなる研究が必要です。


用法・用量 (Dosing & Administration)

  • 成人
    1日最大20億CFU(コロニー形成単位)を最大5週間使用。

  • 子ども
    研究が限られており、標準的な用量は不明です。


作用機序 (Mechanism of Action)

  • 抗生物質の副作用予防
    プロバイオティクスは腸管粘膜への病原菌の定着を防ぎ、腸内フローラを改善する可能性があります。

  • 抗炎症作用
    炎症性サイトカイン(CRPやTNF-α)を減少させ、腸内バリア機能を改善する可能性があります。

  • 免疫調節作用
    L. paracaseiは免疫系を調節し、IgAや抗炎症性サイトカインのレベルを増加させる可能性があります。

  • 抗酸化作用
    酸化ストレスを軽減する可能性があります。


まとめ

L. paracaseiはアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの症状改善に一定の可能性を持つプロバイオティクスですが、多くの効果についてさらなる研究が必要です。適切に使用することで安全性が高いですが、低出生体重児などのリスク群には注意が必要です。

References

See Monograph References


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