ペクチン (Pectin)

投稿者 :リンクプロ on

学名

ペクチン


概要

ペクチンは、果物に含まれる水溶性食物繊維(多糖類)です。アミラーゼに対して耐性を持つデンプンであり、植物組織の細胞壁に存在して植物に剛性を与える役割を果たします(12575)。


注意事項

  • 過去には、ペクチンはカオリン(Kaopectate)と組み合わせて使用されていました。しかし、2003年4月にFDA(米食品医薬品局)は、下痢止めとしての有効性を裏付ける十分な証拠がないと判断しました。2004年4月以降、ペクチンは市販薬(OTC)の下痢止め成分として認可されていません(12577)。現在、Kaopectateにはペクチンやカオリンは含まれていません。

安全性

  • ほぼ安全: 食品に通常含まれる量で使用する場合(4912)。
  • おそらく安全: 食品中の量を超える量を経口摂取する場合でも、短期間であれば安全とされています。ペクチン4.8gを1日3回、最長1年間使用しても重大な副作用は報告されていません(12547, 15019, 15020, 92481, 108525)。

妊娠および授乳中:

  • 食品中の通常量であれば安全と考えられています(4912)。
  • 医薬品量での使用に関する情報は不十分ですが、おそらく安全と考えられます(12577)。

副作用

  • 一般的な副作用:
    下痢、ガス、軟便、軽度の腹痛。
  • まれな重篤な副作用:
    アレルギー反応(アナフィラキシーを含む)が感受性の高い個体で報告されています。

有効性

  • おそらく有効:

    • 高コレステロール血症: ペクチンを15g/日摂取すると、総コレステロールおよびLDLコレステロール値をわずかに低下させることが示されています。
  • 信頼できる十分な証拠が不足している用途:

    • 大腸がん予防
    • 下痢(持続性下痢の小児における効果は不明)
    • 胃食道逆流症(GERD)
    • 前糖尿病
    • 過敏性腸症候群(IBS)
    • 水銀中毒
    • ナイアシン誘発性紅潮の予防・管理
    • 消化性潰瘍
    • 前立腺がん

さらなる研究が必要です。


投与量と使用方法

  • 成人:
    ペクチンは通常、1日15gまで、最長1年間使用されます。最大20g/日までの使用が6カ月間まで試みられています。

  • 小児:
    研究が限られており、標準的な投与量に関する情報は不足しています。


標準化と製剤

臨床研究で使用されたペクチンには、アップルペクチン(19705, 92477)、砂糖大根ペクチン(34118)、特定の改変シトラスペクチン(Pectasol, Econugenics)が含まれます(15020, 108525)。
改変シトラスペクチンは分子量が小さく、エステル化の程度が低いとされています。未改変ペクチンは通常、高いメトキシル化を持ちます(12575, 15019, 92473)。


薬物との相互作用

  • ジゴキシン(Lanoxin): ペクチンがジゴキシンの吸収を減少させる可能性があります。
  • ロバスタチン(Mevacor): ペクチンがロバスタチンの吸収を減少させる可能性があります。
  • テトラサイクリン系抗生物質: 吸収の低下が報告されています。

作用機序

  • 一般的な内容:
    ペクチンは、特に柑橘類やリンゴに多く含まれる水溶性食物繊維です。植物組織の細胞壁に存在し、植物の剛性を高めます。主要構成単位はD-ガラクツロン酸です(12575, 15019, 92473)。

  • 抗がん効果:
    特定の改変シトラスペクチン(Pectasol, Econugenics)は、乳がん、結腸がん、前立腺がんの腫瘍成長や転移を抑制する可能性があります。

  • 抗下痢作用:
    ペクチンは塩分と水の吸収を増加させることで下痢を軽減する可能性があります。また、腸内細菌によって短鎖脂肪酸に代謝され、大腸内のpHを増加させ、病原菌を抑制します。

  • 重金属への影響:
    ペクチンは、重金属(鉛、ストロンチウム)の吸収を減少させ、糞便による排泄を促進すると考えられています。

  • コレステロール低下作用:
    腸内粘度を高めることで胆汁の再吸収を減少させ、コレステロールを新たに胆汁に変換する必要性を高めると考えられています。


分類:
食物繊維(分離型食物繊維)

References

See Monograph References


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