学名
Lactiplantibacillus pentosus
概要 (Overview)
Lactiplantibacillus pentosus(L. pentosus)は乳酸を生成するグラム陽性、棒状、嫌気性細菌です。ヒトに自然に存在するほか、特定の株がサプリメントや機能性食品にプロバイオティクスとして利用されています。プロバイオティクスは、食品や食品成分として摂取される生きた微生物で、健康効果が確認されています (90605,101513,110910)。
警告 (Warnings)
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分類変更
2020年4月、Lactobacillus属は25の異なる属に再分類され、L. pentosusはLactiplantibacillus属に分類されました。ただし、一部の製品ラベルではLactobacillus pentosusと記載されている場合があります。
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壊死性腸炎(NEC)
低出生体重児においてNECの予防にプロバイオティクスが有効とされる場合がありますが、L. pentosusの効果を示す証拠はありません。また、極低出生体重児にプロバイオティクスを使用した場合、感染症リスクがあることが報告されています。
安全性 (Safety)
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成人
生菌や非生菌(加熱処理済み細胞)を適切に使用した場合、安全性が示唆されています。非生菌のL. pentosus b240は、20週間にわたり1日最大200億CFU(コロニー形成単位)まで安全に使用されています。
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子ども
子どもにおける安全性に関する信頼できる情報は不足しています。特に、極低出生体重児(1000g未満)には注意が必要です。
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妊娠中・授乳中
妊娠中および授乳中の使用に関する信頼できる情報は不足しています。ただし、適切に使用する限り、安全性に懸念はないと考えられています。
副作用 (Adverse Effects)
- 一般的に、L. pentosusは経口摂取で良好に耐容されます。
- 重篤な副作用として、感染の可能性がまれに報告されています。
効果 (Effectiveness)
信頼性が不十分な用途
用法・用量 (Dosing & Administration)
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成人
研究は限られており、典型的な用量に関する情報は不足しています。
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子ども
用量に関する研究は限られています。
作用機序 (Mechanism of Action)
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抗菌作用
L. pentosusは**Helicobacter pylori(ピロリ菌)**感染において注目されています。一部の株(例: SLC13)は、細菌の成長および粘膜への付着を抑制し、炎症性サイトカインの産生を抑えることが示されています。
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抗炎症作用
高脂肪食による腸内炎症を抑制し、腸のバリア機能を維持する効果が報告されています。
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免疫調節作用
加熱処理済みまたは生菌のL. pentosusは、IgAの産生を誘導する可能性があります。高齢者では、12週間の摂取により唾液中のIgAレベルが増加し、粘膜免疫に良好な影響を与えることが示されています。
相互作用 (Interactions)
薬物との相互作用
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抗生物質
L. pentosusを抗生物質と併用する場合、理論的にはプロバイオティクスの有効性が低下する可能性があります。
まとめ (Summary)
Lactiplantibacillus pentosusはプロバイオティクスとしての可能性を持つ細菌であり、腸内細菌叢の改善や免疫調節作用が示唆されています。ただし、効果の評価にはさらなる研究が必要です。使用する場合は、特に小児や免疫低下状態の患者には注意が必要です。
References