ミラクルフルーツ(Miracle fruit)

投稿者 :リンクプロ on

学名

Synsepalum dulcificum
(同義語: Bakeriella dulcifica, Bumelia dulcifica)


科名

アカテツ科 (Sapotaceae)


注意

アロエ(Miracle Plant)、ギムネマ(Miracle Plant)、ジャオグラン(Miracle Grass)とは異なります。


概要

ミラクルフルーツは西アフリカ原産の常緑低木で、その果実は料理や薬用として利用されています。また、種子油や葉も薬用に使用されることがあります (15654,102330)。


重要なポイント

  • 最も一般的な用途は、糖尿病、化学療法による味覚障害などですが、これらの使用を支持する強力な証拠はありません。
  • 安全性や副作用について信頼できる十分な情報がありません。
  • 主要な薬物相互作用は知られていません。

使用目的

  • 経口: 果実は肥満や化学療法による味覚障害のために使用されます。また、果実と葉は糖尿病のために使用されます。
  • 外用: 種子油は運動機能の向上に使用されます。
  • 食品: 低カロリー甘味料として使用されます。

安全性

  • 十分な信頼できる情報がない
    ミラクルフルーツの安全性に関する情報は限られています。ヨーロッパ食品安全機関(EFSA)は、ミラクルフルーツの乾燥果肉と皮の許容摂取量を1日10 mg/kg(成人で0.7 g)としています (106574)。

  • 妊娠および授乳中
    十分な情報がないため、使用を避けてください。


副作用

  • 一般的な副作用
    報告された副作用はありませんが、安全性の徹底的な評価は行われていません。また、交差アレルギーの可能性があります (106574)。

有効性

信頼できる十分な情報がないため、効果は評価できません。


投与と管理

  • 成人
    標準的な用量は設定されていません。

標準化と製剤

ミラクルフルーツの凍結乾燥果肉と皮には、最大2.5%のグリコプロテイン「ミラクリン」が含まれています (106574)。


薬物との相互作用

  • 糖尿病治療薬
    相互作用評価: 中等度
    ミラクルフルーツの葉はインスリン生成を増加させ、空腹時血糖値とHbA1cを低下させる可能性があります。このため、糖尿病治療薬(例: グリメピリド、グリベンクラミド、インスリン、メトホルミンなど)との併用で低血糖のリスクが増加する可能性があります (102330)。

サプリメントとの相互作用

  • 血糖降下作用を持つハーブやサプリメント
    理論的には、これらと併用すると低血糖のリスクが高まる可能性があります(例: デビルズクロー、フェヌグリーク、パナックスジンセンなど)。

作用機序

  • 糖尿病効果: ミラクルフルーツの葉は、インスリン合成の増加、炎症性サイトカインの減少、または炭水化物分解酵素(α-アミラーゼやα-グルコシダーゼ)の阻害を通じて、血糖値を低下させる可能性があります (102330)。
  • 抗酸化効果: ミラクルフルーツのエタノール抽出物は、抗酸化活性が高く、特にクエルセチンが主要な抗酸化成分です (106573)。
  • 味覚効果: ミラクリンと呼ばれるグリコプロテインが、酸味を甘味に変換します。この効果は酸性溶液に触れると発現し、約30分間続きます (15651,15652)。
  • 心血管効果: マウスモデルでは、エタノール抽出物が総コレステロール値を低下させることが示されています (106573)。

その他の情報

  • 代謝: ミラクリンはペプシンやトリプシンによって分解されます (106574)。
  • 毒性: 過剰摂取に関する信頼できる情報はありません。

ミラクルフルーツは興味深い植物ですが、臨床効果や安全性についての証拠が不足しているため、使用する際は注意が必要です。

References

See Monograph References


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