L-トリプトファン (L-Tryptophan)

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概要

L-トリプトファンは、1901年に初めて単離された必須アミノ酸です。多くのタンパク質に含まれ、食事から摂取される必要があります。典型的な食事では、0.5~2グラムのL-トリプトファンが供給されます。L-トリプトファンはナイアシン(ビタミンB3)の前駆体でもあり、不足するとナイアシン欠乏症やペラグラに関連する可能性があります (91460)。


安全性

  • 安全と考えられる場合:

    • 食事中の量: 通常の食品に含まれる量では安全とされています。
    • 短期的な医療用量: 5グラム/日を最長21日間使用しても安全とされています (91460, 97243)。
  • 注意が必要な場合:

    • 1989年に、L-トリプトファンは好酸球筋痛症候群(EMS)に関連付けられました。EMSの原因は特定の製造業者による汚染製品であるとされていますが、長期使用に関する安全性については信頼できる情報が不足しています。
  • 妊娠中:

    • 食事中の量では安全ですが、医療用量は胎児の呼吸抑制を引き起こす可能性があるため避けるべきです (1142)。
  • 授乳中: 食事中の量では安全と考えられますが、大量使用に関する情報は不足しています。

  • 副作用:

    • 一般的: 噯気(げっぷ)、下痢、眠気、口渇、頭痛、吐き気など。
    • まれな重篤な副作用: 好酸球筋痛症候群(EMS)が報告されていますが、ほとんどのケースは汚染製品が原因とされています。

有効性

  • 効果が期待される場合:

    • 不眠症: 経口または静脈内投与により、特に入眠潜時に関して症状をわずかに改善する可能性があります。
  • 効果が不十分な場合:

    • うつ病: サポートする証拠が不足しており、まれにセロトニン症候群のリスクがあるため推奨されません。
  • 十分な証拠がない場合:

    • 不安、偏頭痛、肥満、月経前症候群(PMS)、季節性情動障害(SAD)など。

投与量と使用方法

  • 成人:
    • 経口使用: 一般的に200mg~6グラム/日が、2~6週間使用されています。低用量の60mg/日が16週間使用された例もあります。
  • 小児: 研究が限られており、一般的な投与量は不明です。

薬物動態

  • 吸収: 食事中のタンパク質から吸収されます。
  • 代謝: L-トリプトファンは体内で5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)、セロトニン、メラトニン、ナイアシンへと変換されます。
  • 排泄: ナイアシンやその代謝産物が尿中に排泄されます。

作用機序

  • 一般的な効果:
    セロトニンやナイアシンの前駆体として作用し、特に神経系や消化管に影響を与えます。
  • 抗不眠効果: セロトニンへの変換が関連していると考えられています。
  • 抗偏頭痛効果: セロトニンの前駆体として、慢性的にセロトニンが低下している偏頭痛患者に有用である可能性があります。
  • 体重管理: 食欲抑制に関連する可能性がありますが、エネルギー摂取量を大幅に減少させる効果は示されていません。

分類

  • アミノ酸
  • 鎮静-催眠薬
  • セロトニン作動薬
  • エルゴジェニック補助剤
  • エネルギーブースター

References

See Monograph References


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