フィシン(Ficin)

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学名
Ficus insipida (別名:Ficus anthelminthica, Ficus glabrata


クワ科(Moraceae)


概要

フィシンは、倒木したFicus insipidaの幹から採取される物質です。

  • 粗製フィシン(ラテックス)は、凝固を防ぐために酢酸が添加され、防腐剤として安息香酸ナトリウムが含まれています(11)。
  • 精製フィシンは、複数のプロテアーゼと少量の他の酵素および成分からなる酵素製剤です(11)。

用途

  • 経口:
    • 粗製フィシンおよび精製フィシンは、腸内寄生虫感染の治療に使用されます。
    • 精製フィシンは消化不良の治療にも用いられます。
  • 医療手技:
    • 腸の粘膜下層の洗浄・準備(縫合用材料の製造)
    • 動物の動脈を人間に移植するための準備
    • 血清学的検査(例: Rh因子の判定)
  • 製造業:
    • チーズ製造、ビールの冷却安定化、タンパク質加水分解物の調製、食用コラーゲンフィルムの製造、ソーセージケーシングに使用されます。
    • 肉軟化剤に含まれることもあり、通常パパインやブロメラインと組み合わせて使用されます。

安全性

  • 「おそらく安全」: 精製フィシンが食品添加物として使用される場合。食品量で使用される場合、一般的に安全(GRAS)と認められています(4912)。
  • 「おそらく安全でない」:
    • 粗製フィシン(ラテックス)が皮膚に使用される場合:腐食性があり、長時間の接触で出血を引き起こす可能性があります(11)。
    • 高用量の粗製フィシンを経口摂取した場合:嘔吐、けいれん、昏睡などの重篤な副作用が報告されています(100608)。
  • 子供: 「おそらく安全でない」: 粗製フィシンの経口摂取または皮膚への使用は、安全でないとされています。0.5 cm³/kg以上の経口摂取でけいれん、昏睡、死亡が報告されています(100608)。
  • 妊娠中・授乳中: 「おそらく安全でない」: 粗製フィシンの経口摂取や皮膚への使用は、胎児や授乳中の乳児に有害な可能性があるため避けるべきです(11, 100608)。

副作用

経口摂取

高用量の粗製フィシンは以下の副作用を引き起こす可能性があります:

  • 嘔吐、けいれん、昏睡、下痢、頭痛、腹痛、眠気、瞳孔散大、脳浮腫、死亡(11, 100608)。

皮膚への使用

  • 粗製フィシンは腐食性があり、長時間の接触で出血を引き起こす可能性があります。
  • 接触アレルギーを引き起こすことがあります(11)。

有効性

「十分な証拠がない」

  • 眼の浮遊物(浮遊物感): フィシンを含む混合酵素カプセル(95mgフィシン、190mgブロメライン、95mgパパイン)の摂取が、症状を改善する可能性が示唆されていますが、フィシン単独の効果かは不明です(111650)。

用量と使用方法

成人

  • 研究が限られており、標準的な用量は不明です。

標準化と製剤化

精製フィシンは、複数のプロテアーゼと少量の他の酵素および成分を含む混合物です(11)。


薬物との相互作用

  • 薬物との相互作用は知られていません

作用機序

  • 一般: 粗製フィシンは、Ficus insipida の樹幹から採取されたラテックスです。
  • 抗凝固作用:
    • フィシンは、フィブリンやフィブリノーゲンを分解し、血栓を溶解します。
    • プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を延長させ、内因性および外因性凝固経路の抗凝固活性を示します(112759)。
  • 抗炎症作用: 一部の研究で抗炎症活性が示されています(11)。
  • 抗菌作用:
    • Staphylococcus aureusStaphylococcus epidermidis のバイオフィルムを破壊し、抗生物質の効果を高める可能性があります(100605)。
  • 駆虫作用:
    • フィシンは、寄生虫(Heligmosomoides polygyrus)に対して駆虫活性を持つことが示されています(67891)。

分類

  • 抗凝固剤(Anticoagulant Agents)

References

See Monograph References


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