ハイパーイミューンエッグ (Hyperimmune Egg)

投稿者 :リンクプロ on

科学名
免疫グロブリン IgY


概要

ハイパーイミューンエッグは、特定の病原体に対して免疫を付与された鶏が産む卵黄免疫グロブリン (IgY) を含んでいます。これにより、病原体に対する受動的免疫が提供される可能性があります。主に腸管の局所的な疾患、例えば ヘリコバクター・ピロリ が引き起こす潰瘍や ロタウイルスによる下痢 などに効果が期待されます。

IgY はヒトの IgG と相互作用せず、哺乳類の補体を活性化しないため、消化管内で炎症反応を引き起こさないとされています (102903)。


商業製品に含まれるもの

以下のような病原体に対して免疫が付与されたハイパーイミューンエッグ製品が開発されています:

  • ロタウイルス
  • ヘリコバクター・ピロリ
  • 緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa)
  • 歯周病原因菌 (Porphyromonas gingivalis)

消化器系への影響

マウスの研究では、VacA (ヘリコバクター・ピロリが産生する毒素) に免疫されたハイパーイミューンエッグ由来の免疫グロブリン (IgY) が、胃内の H. pylori のコロニー形成を減少させ、胃組織の病理学的変化を抑制しました。臨床研究では、H. pylori ウレアーゼに免疫されたハイパーイミューンエッグ IgY が、尿素呼気試験による H. pylori のコロニー形成を減少させる可能性が示唆されていますが、完全な除去には至りませんでした (102910, 102911)。


免疫学的効果

理論的には、特定の疾患に対して免疫された鶏由来の卵黄免疫グロブリン Y (IgY) が、ヒトに受動的免疫を提供する可能性があります。この効果は主に消化管内で局所的に作用し、ヘリコバクター・ピロリが引き起こす潰瘍やロタウイルス下痢などに役立つと考えられます。

健康な被験者では、摂取された量のうち 0.01% 未満が便中に検出されました。一方で、乳児や下痢を伴う場合では、消化管の通過時間が短いため、IgY の多くが無傷のまま大腸に到達する可能性があります (102906)。

References

See Monograph References


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