学名
概要
植物ステロールは、コレステロールに似た構造を持つ物質で、果物、穀物、豆類、植物油、ナッツ、種子などに自然に存在します。主要な植物ステロールには、ベータ-シトステロール、カンペステロール、スティグマステロールがあります。植物ステロールを添加した食品(例: マーガリン)やサプリメントが市販されており、一部の国では心血管疾患リスク低減の表示が許可されています。
安全性
副作用
- 一般的に良好に耐容されます。
- 長期間の使用による副作用は報告されていません。
効果
効果があると考えられる(LIKELY EFFECTIVE)
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家族性高コレステロール血症
コレステロール低下食と併用すると、LDLコレステロールを減少させる効果があります。
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高コレステロール血症
2~3グラム/日の摂取で、LDLコレステロールを5~15%低下させる効果があります。ただし、トリグリセリドには影響を与えません。
効果がある可能性がある(POSSIBLY EFFECTIVE)
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冠動脈性心疾患(CHD)
- アメリカ食品医薬品局(FDA)は、3.4グラム以上の植物ステロール摂取がCHDリスク低減に寄与する可能性があると認めています。
効果が不明または証拠が不足(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE TO RATE)
- がん(大腸がん、食道がん、胃がんなど)
- 耐糖能異常(前糖尿病)
- メタボリック症候群
- 肥満
- 心筋梗塞(MI)
- 脳卒中
投与および使用法
成人
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経口摂取
- 一般的な用量は1.6~3グラム/日、最大1年間使用可能。
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ビタミンEやカロテノイドとの併用
- 植物ステロールがこれらの吸収を減少させる可能性がありますが、臨床的に重大な影響はありません。
子供
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経口摂取
- 一般的な用量は1.6~2.3グラム/日、最大26週間使用可能。
標準化と製剤化
植物ステロールは食品に組み込みやすくするために脂溶性を高めるエステル化処理が施されています。マーガリン、ヨーグルト、パンなどの食品やサプリメントとして使用されています。
相互作用
薬理作用
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吸収
腸内での吸収率はわずか2~6%。大部分は糞便中に排泄されます。
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コレステロール低下作用
植物ステロールは、腸内でのコレステロール吸収を競合的に抑制します。また、一部の植物ステロール(スティグマステロール、ブラスキャステロール)はコレステロールの生合成を阻害します。
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心血管への作用
- 血管収縮因子エンドセリン-1を減少させる効果があり、これは脂質低下作用とは無関係と考えられています。
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体重減少への作用
ベータ-シトステロールが脂肪組織を減少させ、脂肪細胞の増殖を抑制する可能性があります。
まとめ
植物ステロールは、高コレステロール血症や冠動脈性心疾患のリスク低減に有用とされています。ただし、がん予防や肥満などその他の用途に関する科学的証拠は限定的です。食品やサプリメントから摂取する際は、コレステロール低下食の一部として適切に使用することが推奨されます。