学名
- Punica granatum
科名
- ミソハギ科 (Lythraceae) または ザクロ科 (Punicaceae)
概要
ザクロは小型の果実をつける樹木で、地中海地域、東南アジア、アメリカ南西部、ヒマラヤ地方など世界各地で栽培されています。伝統的には、喉の痛みを和らげるうがい薬や腸内寄生虫感染症、下痢、赤痢、痔の治療に使用されてきました。また、避妊薬や流産誘発剤としても利用されたことがあります。
警告
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
ザクロがCOVID-19の治療や予防に有効であるという主張がありますが、それを支持する十分な証拠はありません。健康的な生活習慣や科学的に証明された予防法を優先してください。
安全性
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おそらく安全
- 果実および果汁: 経口で適切に摂取する場合、3年間の研究で安全性が確認されています。
- 抽出物: 1日1~3グラムを最大18か月間使用して安全とされています。
- 種子油: 1日60 mgを12週間使用して安全とされています。
- 種子粉末: 1日5グラムを8週間使用して安全とされています。
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おそらく危険
- 根、幹、皮: 大量摂取は危険。これらには筋弛緩作用を持つアルカロイドが含まれ、動物実験で麻痺や死亡が確認されています。乾燥した皮には発がん性物質であるアフラトキシンが含まれる可能性があります。
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妊娠・授乳中:
- 果実および果汁: 適切に摂取する場合はおそらく安全。その他の形態についてはデータ不足のため使用を避けてください。
副作用
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一般的に: ザクロ果実と果汁は通常よく耐容されます。ただし、根、幹、皮を大量摂取するのは避けるべきです。
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最も一般的な副作用:
- 経口摂取: 下痢、鼓腸(おなかの張り)
有効性
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おそらく有効
- 高血圧: ザクロ果汁の経口摂取により、血圧がわずかに低下する可能性があります。
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おそらく無効
- 糖尿病: 大半のザクロ製品は糖尿病に効果がないとされています。ただし、種子粉末の有効性は不明です。
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信頼できる証拠が不十分
- 動脈硬化、運動パフォーマンス、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、歯垢、勃起不全(ED)、インフルエンザ予防、肥満、メタボリックシンドローム、関節リウマチ、日焼け予防、前立腺がんなど、さまざまな症状や疾患に対する有効性については、さらなる研究が必要です。
用法と用量
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成人:
- 経口摂取: ザクロ果汁は1日50~240 mLを最大3か月間使用。抽出物は1日最大3グラムを18か月間使用。
- 外用: マウスウォッシュや口腔ジェルとして使用。
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子ども: データが限られているため、典型的な用量は不明。
作用機序
- 抗酸化作用: ポリフェノール(アントシアニン、カテキン、エラジタンニンなど)が豊富で、酸化ストレスを軽減します。
- 抗炎症作用: 炎症性サイトカインの産生を抑制し、抗炎症効果を発揮します。
- 血圧降下作用: アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性を低下させることで血圧を低下させます。
- 抗菌・抗真菌作用: 菌や真菌に対する抗菌作用を示します。
- 抗がん作用: プロアポトーシス(細胞死誘導)および抗増殖効果があります。
相互作用
- ACE阻害薬や降圧薬: ザクロはこれらの薬剤と併用すると低血圧のリスクが高まる可能性があります。
- ワルファリン: 血中濃度を増加させ、出血リスクを高める可能性があります。
市販製品
- POM Wonderful: さまざまな臨床試験で使用されている標準化されたザクロ果汁や抽出物。
ザクロには多くの健康効果が期待されていますが、用途や形態によって有効性や安全性が異なるため、使用前に注意が必要です。