学名:
Paeonia lactiflora (シノニム: Paeonia albiflora, Paeonia mascula, 他)
科名:
キンポウゲ科 (Ranunculaceae)
概要
ボタン(Peony)は多年草で、主に伝統中国医学(TCM)において様々な目的で使用されています。例えば、解熱、嘔吐や月経の誘発、流産の促進などです(68339,68349,92792)。特に使用されるのは根で、水やエタノール抽出物である「総ペオニア配糖体 (TGP)」が一般的です(92785,112861)。
安全性
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おそらく安全:
- 短期間、適切に使用された場合、安全と考えられています。例として、TGP(総ペオニア配糖体)は1日最大1800 mgの用量で12か月間安全に使用されています(92786,112861)。
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妊娠中:
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おそらく危険: 子宮収縮を引き起こす可能性があるため、妊娠中の使用は避けてください(13400)。
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授乳中:
- 安全性に関する十分な情報がないため、使用は避けるべきです。
副作用
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一般的な副作用:
- 経口摂取時: 腹部膨満感、食欲不振、下痢、胃腸の不快感、吐き気。
- 外用時: 皮膚炎。
有効性
信頼できる十分な情報がない:
以下の疾患や症状に対して使用されていますが、臨床効果に関する十分な情報は不足しています。
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抗リウマチ: TGPはリウマチ性疾患の症状を軽減する可能性がありますが、エビデンスは限定的です。
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痛風: 痛風の治療効果に関する十分なエビデンスはありません。
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肝炎: 肝疾患に対する効果は不明です。
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皮膚老化: ボタンエキスの抗老化作用に関するエビデンスは不足しています。
投与と用量
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成人:
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経口: TGP 600 mgを1日3回、最大24週間。ボタンと甘草の組み合わせ(例: 芍薬甘草湯)は1日2.5〜6 gで4〜16週間使用されることが一般的です。
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小児:
相互作用
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薬剤:
- 抗凝固剤/抗血小板薬との併用は出血リスクを高める可能性があります。
- クロザピン、ホルモン治療薬、フェニトインなどの代謝に影響を与える可能性があります。
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サプリメント:
- 抗凝固作用やエストロゲン活性を持つハーブとの併用は注意が必要です。
作用機序
主要成分:
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ボタンには配糖体、フラボノイド、タンニン、トリテルペノイド、多糖類などが含まれています。主要な成分はペオニフロリン、ベンゾイルペオニフロリン、ガロタンニンなどです。
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抗炎症作用: TGPは、プロスタグランジンやサイトカインの産生を抑制し、免疫応答を調整する可能性があります(112861)。
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抗酸化作用: ボタンエキスには強い抗酸化作用があり、細胞の酸化ストレスを軽減します(68346)。
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鎮痛作用: 一部の研究では、ペオニフロリンが鎮痛および神経保護効果を持つことが示されています(13311)。
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抗がん作用: 抗がん効果があるとされる成分が含まれており、特定のがん細胞の増殖を抑制する可能性が示唆されています(68344,92789)。
分類
References