フッ化物 (Fluoride)

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概要

フッ化物は元素フッ素 (F) のイオンであり、カルシウムとの親和性が高く、骨や歯などの石灰化組織に多く含まれています。虫歯予防のための主要成分として、飲料水、歯磨き粉、マウスウォッシュなどで使用されます。


安全性

  • おそらく安全

    • 経口使用:
      1日の耐容上限摂取量 (UL) 以下、つまり成人では10mg未満で使用する場合。
    • 外用使用:
      歯磨き粉やマウスウォッシュ、歯科治療で一般的に使用される量で安全。
  • 子供:

    • 安全量:
      0〜6ヶ月: 0.7mg未満、7〜12ヶ月: 0.9mg未満、1〜3歳: 1.3mg未満、4〜8歳: 2.2mg未満、8歳以上: 10mg未満。
  • 妊娠・授乳中:

    • 適切な量 (10mg未満/日) での経口使用は安全。ただし、高濃度のフッ化物摂取が胎児の認知機能に影響を与える可能性が示唆されており、さらなる研究が必要です。
  • おそらく安全ではない可能性

    • 長期間にわたってULを超える量を摂取すると、骨フッ素症や歯フッ素症のリスクがあります。特に6歳以下の子供では、誤飲を防ぐため歯磨き粉は豆粒大程度に制限することが推奨されます。

副作用

  • 一般的な副作用:

    • 経口摂取: 胃腸症状 (吐き気、腹痛など)。
    • 外用使用: 歯の着色 (まれ)。
  • 重篤な副作用 (稀):

    • アレルギー反応: アトピー性皮膚炎、胃腸アレルギー反応、口唇の炎症、じんましんなど。

効果

  • 効果があるとされる

    • 虫歯予防:
      フッ化物を含む歯磨き粉 (1000 ppm 以上) やフッ化水での適切な使用により、虫歯の発生を減少させます。
    • 歯垢と歯肉炎の予防:
      トピカルなフッ化物の使用が歯垢と歯肉炎を減少させる可能性があります。
    • 骨粗鬆症:
      骨密度を改善する効果があるものの、骨折予防効果は不明です。
  • 証拠が不足している効果

    • 関節リウマチ (RA) やクローン病における骨密度改善。
    • 心血管疾患 (CVD): 軟部組織の石灰化を抑制する可能性があるが、十分な証拠はない。

投与量と使用方法

  • 成人の耐容上限摂取量 (UL)

    • 女性: 3mg/日
    • 男性: 4mg/日
  • 子供の耐容上限摂取量

    • 0〜6ヶ月: 0.7mg/日未満
    • 7〜12ヶ月: 0.9mg/日未満
    • 1〜3歳: 1.3mg/日未満
    • 4〜8歳: 2.2mg/日未満
    • 9歳以上: 3〜4mg/日未満
  • 外用使用

    • 歯磨き粉やマウスウォッシュ、歯科治療に使用される濃度 (例: 歯磨き粉 0.05%以上のフッ化ナトリウム含有)。

相互作用

  • カルシウムとの併用:
    フッ化物の生物学的利用率を低下させる可能性があります。

メカニズム

  • 骨への作用:
    フッ化物は骨の形成細胞 (オステオブラスト) 活性を刺激し、骨密度を増加させますが、弾力性や強度を低下させる可能性もあります。
  • 虫歯予防:
    フッ化物は歯のエナメル質の再石灰化を促進し、細菌の酸生成を抑制することで虫歯を防ぎます。
  • 心血管への作用:
    軟部組織の石灰化を抑制する可能性があります。

フッ化物は虫歯予防に効果的ですが、過剰摂取には注意が必要です。特に子供や妊娠中の使用では、適切なガイドラインに従うことが推奨されます。


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