グリコマクロペプチド(Glycomacropeptide)
Posted by リンクプロ on
概要
グリコマクロペプチドは64アミノ酸からなる糖ペプチドで、チーズ製造中に形成されます。牛乳が酵素キモシン(レニン)で処理されると、カゼインの一種であるカッパカゼインが、パラカッパカゼインとグリコマクロペプチドに分解されます。パラカッパカゼインはチーズカードに、グリコマクロペプチドはホエイ(乳清)に含まれます。他のホエイタンパク質と異なり、グリコマクロペプチドはフェニルアラニン、トリプトファン、チロシンが少なく、イソロイシンとスレオニンが豊富です。
使用目的
経口摂取で、以下の状態に使用されています:
- フェニルケトン尿症(PKU)
- 心血管疾患(CVD)
- 虫歯
- 痛風
- 乳児発達
- 肝疾患
- 肥満
- 双極性障害
- 糖尿病
安全性
おそらく安全:
- 成人: 1日最大27gを6か月間、その後13.5gを6か月間使用することが臨床試験で確認されています。
- 子供: フェニルケトン尿症の子供に対して、血中フェニルアラニン濃度を調整する用量で1年間使用した場合、安全とされています。
妊娠・授乳中: 信頼できる十分な情報がないため、使用を避けるべきです。
副作用
- 一般的な副作用: 胃腸障害が報告されていますが、コントロール群と比較して同程度かそれ以下の頻度です。
効果
証拠が不十分な条件:
- 痛風: 強化スキムミルク粉末を3か月間摂取すると、痛風発作の頻度や痛みのスコアがわずかに減少しますが、血清尿酸値には影響を与えません。
- 肥満: 食事代替サプリメントとして13.5gを1日2回摂取後、6か月目以降は1日1回の摂取を続けた場合、体重が顕著に減少(平均10.8kg減)したとの報告があります。
- フェニルケトン尿症: フェニルアラニンを含まないアミノ酸サプリメントの代替として使用すると、健康や腎機能に悪影響を与えず、フェニルアラニン濃度を目標範囲内に維持します。子供では48%が完全に置き換え可能で、残りは個別に調整した混合サプリメントを必要とします。
- チロシン血症: プラズマチロシン濃度を減少させ、目標範囲内に維持するのに効果的かつ安全です。
投与と使用方法
成人
- 痛風: グリコマクロペプチド強化スキムミルク粉末1.5gを1日1回、3か月間使用。
- 肥満: グリコマクロペプチド13.5gを1日2回、6か月間使用後、1日1回に減量して6か月間使用。
- フェニルケトン尿症: 血中フェニルアラニン濃度を調整するための個別用量。
子供
- フェニルケトン尿症: 血中フェニルアラニン濃度を調整するための個別用量。
作用機序
- 一般的な役割: グリコマクロペプチドは64アミノ酸からなり、糖鎖やアミノ酸(スレオニン、ロイシン、イソロイシン、バリンなど)を含む。フェニルアラニンやチロシンの低含有量が特徴で、PKU患者に有用とされます。
- 抗菌効果: 細菌(大腸菌やサルモネラ菌)の腸管細胞への付着を阻害する可能性があります。また、虫歯予防に寄与する可能性があります。
- 抗糖尿病効果: 糖負荷後の血糖値やインスリン濃度を減少させ、胃排出速度を増加させる可能性があります。
- 抗炎症効果: 痛風患者では、関節の炎症応答を抑制する可能性があります。
- 抗肥満効果: 短期的な満腹感を高める可能性がありますが、食事摂取量や体重減少への影響には議論があります。
- 抗血小板効果: 血小板凝集を阻害する可能性があります。
- 免疫効果: マクロファージ活性を増強する一方で、特定のサイトカイン産生を抑制する可能性があります。
- 精神効果: 脳内のドーパミンやセロトニン合成を抑制し、急性躁病の管理に寄与する可能性があります。
分類
- 栄養補助食品
- 医療用食品
Share this post
- Tags: サプリメント