乳香(フランキンセンス)(Frankincense)

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学名: Boswellia
科: カンラン科(Burseraceae)


概要

乳香(フランキンセンス)は、Boswellia 属の木の幹に切れ目を入れて抽出される樹脂が硬化したものです(11)。これらの木はオマーン、ソマリア、イエメンなどに自生しています(100932)。聖書の時代から香料として知られており、現在では石鹸、ローション、香水の香料として使用されています(100931)。医学的には、乳香は主に外用またはアロマセラピーとして使用されます。本モノグラフでは、これらの使用方法のみを扱います。


警告

  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19):
    一部の専門家は、乳香がCOVID-19に対する免疫や炎症反応を妨げる可能性を警告しています。ただし、これを支持する強力な証拠はなく、COVID-19に対する効果を示す証拠もありません。

安全性

  • おそらく安全(POSSIBLY SAFE):
    • 乳香エッセンシャルオイルを外用またはアロマセラピーとして使用する場合(7107)。
    • Boswellia の乳香抽出物を含むクリーム(0.5~2%)を最大30日間使用した場合(21156, 21157, 91380)。
  • 妊娠および授乳中:
    十分な信頼できる情報がないため、使用を避ける。

副作用

  • 一般的な副作用:
    外用または吸入での乳香エッセンシャルオイルは、概ね良好に耐えられます。
    • 最も一般的な副作用:
      皮膚炎、刺激、かゆみ。

有効性

  • 十分な信頼できる証拠がない(INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE):
    • ニキビ: 外用の乳香の効果について十分な証拠がない。
    • 加齢肌: 小規模な臨床研究では、乳香抽出物を含むクリームが加齢肌の症状を改善する可能性が示唆されています。
    • 腰痛: 他の成分と組み合わせて評価されており、単独使用の効果は不明です。
    • 関節炎: 外用乳香の効果は不明です。
    • 放射線皮膚炎: 外用乳香クリームが放射線皮膚炎の重症度を軽減するかどうかは不明です。
    • カンジダ症: 外用での効果は不明。

投与と使用方法

  • 外用または吸入:
    研究は限られており、標準的な投与量の情報はありません。

薬物との相互作用

外用または吸入の乳香について、既知の薬物相互作用はありません。


作用機序

乳香は、Boswellia 属の樹脂から作られます。主な成分はボスウェリック酸(36.9%)で、α-ボスウェリック酸やアセチル-ボスウェリック酸が含まれます(103854)。乳香エッセンシャルオイルには50以上の化学成分が含まれ、その多くはモノテルペン炭化水素(87.5%)です。

  • 抗菌作用: in vitro 研究で、乳香エッセンシャルオイルが複数の細菌に対して抗菌活性を持つことが示されていますが、その効果は一般的な抗生物質より弱い(100931, 111507)。
  • 抗炎症作用: ボスウェリック酸を含む成分が炎症性サイトカインの抑制を示唆(12656, 12657)。
  • 抗真菌作用: 真菌に対して抗真菌効果を示し、一部の空中真菌を45.4%減少させる可能性(100931)。
  • 皮膚効果: ボスウェリック酸を含むクリームが皮脂の減少や肌の厚みを増加させる可能性(21156, 21157)。
  • 創傷治癒: ミルラとの併用で動物モデルにおいて治癒を促進する可能性(103856)。

分類

抗炎症剤、抗菌剤、抗真菌剤。

References

See Monograph References


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