セイヨウトチノキ (Horse Chestnut)

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学名:
Aesculus hippocastanum

科名:
トチノキ科 (Hippocastanaceae)


概要

セイヨウトチノキは広葉樹の落葉高木で、ブルガリア、北マケドニア、ギリシャなどの東南ヨーロッパに自生しています。この木の果実には1~3個の種子が含まれており、スイートチェスナットに似た見た目ですが、苦味があります。伝統的に、関節炎、脳震盪、痛みや腫れ、月経困難症、痔、前立腺肥大、下痢、狼瘡(ループス)、マラリア、発熱、咳、皮膚疾患などの治療に用いられてきました。


安全性

  • おそらく安全 (LIKELY SAFE):
    標準化されたセイヨウトチノキ種子抽出物(有害成分のエスクリンを除去したもの)を短期間(2~12週間)経口使用する場合、安全性が確認されています。

  • 危険 (UNSAFE):
    未処理の種子、樹皮、花、または葉を経口で使用することは危険です。これらには毒性成分であるエスクリンが含まれており、致命的になる可能性があります。

  • 子供:
    未処理の種子、樹皮、花、または葉を経口で使用することは危険です。枝や葉を用いたお茶を飲んだ子供に中毒の報告があります。

  • 妊娠および授乳中:
    未処理のセイヨウトチノキ製品は致命的な可能性があるため使用を避けてください。妊娠中や授乳中に標準化された種子抽出物を使用する安全性については十分な情報がありません。


副作用

  • 一般的な副作用:
    有害成分のエスクリンを除去した種子抽出物を経口使用する場合は、一般的に良好に耐えられます。

  • 主な副作用:
    めまい、消化器系の不調、頭痛、かゆみ。

  • 未処理の種子や樹皮による副作用:
    消化器の刺激、腎毒性。


効果

  • 可能性がある効果 (POSSIBLY EFFECTIVE):

    • 慢性静脈不全 (CVI):
      臨床研究の多くは、セイヨウトチノキ抽出物がCVIの症状を軽減する可能性があることを示唆しています。
  • 不十分な証拠 (INSUFFICIENT RELIABLE EVIDENCE):

    • 過敏性腸症候群 (IBS)
    • 腎結石
    • 男性不妊症

さらなる研究が必要です。


投与量と使用方法

  • 成人:
    セイヨウトチノキは1日300~600 mgを8~12週間使用されています。抽出物は一般的に、トリテルペン配糖体(サポニン)の含有量が16~20%(アエスシン含量)に標準化されています。

  • 外用:
    研究は限られており、一般的な使用量は不明です。


標準化と製剤化

以下の製品が臨床研究で使用されています:

  • Venostasin retard(Klinge Pharma GmbH):
    300 mgのセイヨウトチノキ種子抽出物を含み、50 mgのアエスシンを標準化。
  • Aescuven Forte:
    150 mgの種子抽出物を含み、30 mgのアエスシンを標準化。

薬物との相互作用

  1. 抗凝固薬/抗血小板薬:
    血小板凝集抑制作用がある可能性があり、出血リスクを高める可能性があります。

  2. ギンコ(イチョウ):
    ギンコと併用すると、副作用のリスクが増加する可能性があります。


作用機序

  • 抗炎症作用:
    精製されたアエスシンは化学的に誘発された炎症を軽減します。

  • 抗酸化作用:
    抽出物には抗酸化作用があると報告されています。

  • 血管収縮作用:
    アエスシンは静脈毛細血管の透過性を低下させ、血管収縮を促進します。

  • 消化器系への効果:
    サポニンは腸の運動を促進し、メタン生成を抑制します。これはIBSの管理に有益かもしれません。


結論

セイヨウトチノキは慢性静脈不全の治療に可能性がありますが、未処理の部分(種子、葉など)は毒性があり、使用は危険です。標準化された製品のみを適切に使用することが推奨されます。


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