エラグ酸 (Ellagic Acid)
Posted by リンクプロ on
学名
- Ellagic Acid
概要
エラグ酸は、多くの植物に含まれるポリフェノール化合物です。
主な食品の供給源には、以下が含まれます:
- ラズベリー
- ザクロ
- ブラックベリー
- ストロベリー
- チェリー
- ブドウ
- クルミ
- ブロッコリー
- 緑茶
歴史と用途
経口での使用
- がん(特に前立腺がん)
- 認知機能
- ヒトパピローマウイルス (HPV)
- 肥満、糖尿病、高脂血症
- 非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)
- 多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)
外用での使用
- 肝斑(メラズマ)の治療
安全性
-
経口使用:
短期間かつ適切に使用する場合、おそらく安全とされています。最大200 mg/日までの用量で8週間の使用、または50 mg/日を12週間使用した研究があります。 -
外用使用:
エラグ酸1%を含む製品を顔に1日2回、最大6か月使用した場合、安全性が確認されています。 -
妊娠・授乳中:
信頼できる情報が不足しているため、使用は避けてください。
効果が期待される可能性のある用途
膀胱がん
- 中~高リスクの非筋侵襲性膀胱がん患者を対象に、エラグ酸100 mgとグラビオラ100 mgを1日1回6か月間摂取した研究では、6か月時点で再発率が83%低下したとの結果があります。ただし、12か月以降の効果は確認されていません。
認知機能
- 中年期の過体重の患者で、エラグ酸50 mgを12週間摂取すると、認知機能やIQが改善したとする予備的研究があります。ただし、標準体重の患者には効果がありませんでした。
糖尿病
- 2型糖尿病患者において、エラグ酸180 mgを8週間摂取すると、血糖値、インスリン抵抗性、脂質レベルに有益な効果を示したとする研究があります。
ヒトパピローマウイルス (HPV)
- エラグ酸16 mgとグラビオラ100 mgの組み合わせを1日2回6か月間摂取すると、高リスク型HPVの排除率が3倍に増加し、L-SIL(低度扁平上皮内病変)からH-SIL(高度扁平上皮内病変)への進行リスクが12.5%低下しました。
肝斑 (メラズマ)
- エラグ酸1%を含むゲルを1日2回、6か月間顔に塗布すると、アルブチン1%と同様の色素沈着減少が見られました。また、エラグ酸0.5%とサリチル酸0.1%を含む製品も12週間で有益な結果を示しています。
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)
- エラグ酸200 mgを8週間摂取すると、血糖値、インスリン抵抗性、脂質レベルが改善し、テストステロンとプロラクチンレベルがわずかに低下しました。
前立腺がん
- ホルモン抵抗性前立腺がん患者で、エラグ酸60 mgを化学療法中および間欠期に8時間ごとに摂取すると、好中球減少症が減少する可能性があると報告されています。ただし、治療効果や生存率には影響がありませんでした。
副作用
一般的に、経口または外用での短期使用は良好に耐容されるとされています。ただし、グラビオラと組み合わせた使用で消化器系の副作用が報告されています。
作用メカニズム
-
抗がん作用:
- 抗酸化作用やフリーラジカル除去能力を持ち、脂質過酸化の抑制がビタミンEより低濃度で可能とされています。
- 一部の研究では、エラグ酸がヒト肝細胞がん細胞(HCC)の成長を選択的に抑制することが示されています。
-
抗糖尿病作用:
- 酸化ストレスの抑制、炎症性メディエーターの低下、いくつかの炎症プロセスに関与するタンパク質のレベルの改善が確認されています。
-
皮膚作用:
- チロシナーゼ活性の抑制によりメラニン生成を抑制します。
-
認知効果:
- 中年期の過体重患者において、酸化ストレスを抑制し、神経保護効果が期待されています。
-
腎保護効果:
- 糖尿病性腎症モデルにおいて、腎機能の指標を改善し、腎障害の進行を抑制しました。
注意事項
-
糖尿病治療薬との併用:
エラグ酸が血糖値を低下させるため、低血糖リスクが高まる可能性があります。 -
外科手術前後:
手術前後には、エラグ酸の使用を避けることが推奨されます。
エラグ酸は、抗酸化や抗炎症、抗がん効果を期待される成分ですが、その吸収率の低さや迅速な排泄が臨床的な有用性を制限する可能性があります。使用を検討する場合は、専門家に相談してください。
Share this post
- Tags: サプリメント