エミューオイル (Emu Oil)

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概要

エミューオイルは、オーストラリア原産の飛べない大型鳥「エミュー」から得られる脂肪を加工して作られます。現在では、オーストラリア、アメリカ、カナダ、ヨーロッパで農場生産されています。エミューの脂肪を細かく切り、遠心分離、加熱、濾過して透明なオイルを得ます。さらに漂白などの処理を施すことで、化粧品グレードのエミューオイルを製造することもあります。

エミューオイルは、伝統的にアボリジニの医療で皮膚や筋骨格系の問題に対処するために使用されてきました。これは、その抗炎症効果が期待されるためです。


安全性

  • 外用使用:
    適切に使用すれば、短期間の外用で安全性が確認されています。エミューオイルや30%エミューオイルクリームを皮膚に2~8週間適用した研究があります。
  • 経口使用:
    安全性に関する十分な信頼できる情報がありません。
  • 妊娠・授乳中:
    十分な情報がないため、使用は避けてください。

効果

エミューオイルの効果に関しては、十分な信頼できるエビデンスがない用途がほとんどです。

不十分なエビデンス

  • 男性型脱毛症 (Androgenic Alopecia): 効果を示す信頼できる情報が不足しています。
  • アロマターゼ阻害剤による関節痛: 効果が不明。
  • アトピー性皮膚炎 (湿疹): 効果を示す証拠が不足しています。
  • やけど: 効果が不明。
  • クローン病: 経口使用の有効性を示す十分な証拠がありません。
  • おむつかぶれ: 効果を示す信頼できる情報が不足しています。
  • 高脂血症: 経口使用の有効性に関する情報が不十分です。
  • 変形性関節症 (Osteoarthritis): 効果を示す十分な情報がありません。
  • 乾癬 (Psoriasis): 効果が不明。
  • 放射線皮膚炎 (Radiation Dermatitis): 効果が不明。
  • 関節リウマチ (RA): 効果を示す十分な証拠がありません。
  • 脂漏性皮膚炎 (Seborrheic Dermatitis): 効果が不明。

さらなる研究が必要とされています。


作用メカニズム

エミューオイルには、以下の成分が含まれています:

  • トリグリセリド
  • 飽和脂肪酸: パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸
  • 不飽和脂肪酸: オレイン酸、リノール酸、リノレン酸
  • ステロール
  • カロテノイド、フラボン、ポリフェノール、トコフェロール
  • リン脂質

抗炎症効果

  • ラットの実験では、エミューオイルを局所適用することで関節炎に伴う腫れや炎症を軽減する効果が確認されています。
  • エミューオイルに含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸は、腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターロイキン(IL-12、IL-1β)などの炎症性サイトカインを減少させるとされています。

皮膚効果

  • 保湿、化粧品用途、肌のバリア機能の改善に効果があるとされています。
  • 動物実験では、エミューオイルを含むローションが創傷治癒を促進し、皮膚の再生を助ける可能性があるとされています。

コレステロール低下効果

  • 初期の動物研究では、経口で摂取すると総コレステロールおよび低密度リポタンパク質 (LDL) コレステロールを低下させる可能性が示唆されています。

消化器系への効果

  • ラットを対象とした研究で、経口使用による腸の炎症軽減効果が確認されています。
  • 潰瘍性大腸炎モデルでは、症状の軽減や炎症性マーカーの低下が見られました。

用量と使用法

  • 外用使用:
    エミューオイルを1日2~3回、最大8週間まで影響部位に適用する例があります。

相互作用

  • 薬剤との相互作用: 報告なし。
  • サプリメントとの相互作用: 報告なし。
  • 疾患との相互作用: 報告なし。
  • 検査との相互作用: 報告なし。

過剰摂取

エミューオイルの過剰摂取に関する情報は不足しています。


注意点

エミューオイルは、伝統的に抗炎症や保湿、創傷治癒促進のために使用されてきましたが、その効果を裏付ける科学的エビデンスは限定的です。使用を検討する場合は、医療専門家に相談することをお勧めします。


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